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■本、著者の情報
<作者>ベン・コーエン, 丸山 将也 訳
<原題>THE HOT HAND -The Mystery and Science of Streaks
<発行日> 2022年6月 (株式会社 白揚社)
■あらすじ
行動経済学者のエイモス・トヴェルスキーや心理学者のトーマス・ギロビッチらの主張によって「ホットハンド」は存在しないと考えられてきたが、
ジョシュア・ミラーとアダム・サンフルホによってホットハンドの存在が示されたことを物語形式で語っております。
これまで、バスケットボールのシュートの成功率は、前のシュートが成功しても成功していなくても変わらないという統計的データが、ホットハンド不在の証拠でした。
しかしミラーらは、確率論的には前のシュートが成功した場合は次のシュートが成功する確率が低く、つまり前のシュートが成功した後のシュートの成功率が変わらないという事は、
逆にシュートの成功確率が上がっているという事を意味するという事を発見した。という内容です。
■感想
本論は上記の通りですが、その説明に至るでの前置きがとても長いです。物語を楽しみたい人にとっては楽しめる内容でしたが、結論を早く知りたい人や学問的な説明を求めている人にとっては物足りない内容だと思います。
人間のメンタルはスポーツなどのパフォーマンスに大きな影響を与えることが知られているので、シュートの成功によって自信をつける事ができ、次のシュートも成功する確率が上がる(つまりホットハンドは実在する)と私も直観的には思いますが、
それをデータと計算によって示すことができたのは大きな功績だと思います。
ただしこれは、人間のメンタルによって結果が左右される事象にのみ通用されるのであって、ギャンブルなど全く人間のメンタルには影響しない事象に対してはやはりホットハンドの存在は認められないと思います。
そういう意味では、邦題の "科学で「ツキ」を証明できた"とは言えないです。「ツキ」は日本語では「運」という意味合いが強いので、邦題はあまり適切ではないと思います。原題に対して邦題は少し飛躍した表現になっています。
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