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■本の情報
<作者> 橘 玲
<出版社> 小学館
<発行日> 2023年8月
■感想
リベラル化が行き過ぎた結果、ますます生きづらい世の中になっている。リベラル化に伴う弊害の一つであるキャンセルカルチャーについて実例をあげて説明している。
実例が多いのは良いのですが、本著の主張はいくつかに絞られているので、「はじめに」と「あとがき」を読むだけでおおよその主張が理解できます。
橘玲氏の著書はいくつか読んだことがあるのですが、これまでの斬新な切り口が欠けていたように感じます。
著者の定義するリベラルとは「自分らしく生きたいという価値観」であるとしていますが、ならば相対する保守の定義はどうなるのでしょうか。
「自分らしく生きたい」という価値観は保守にも当てはまるので、それだけでリベラルを定義づけるのは難しい気がします。
■要約
<リベラル化の弊害>
リベラル化の弊害を以下のとおりあげています。
① 個人の能力は生得的なものであるため、個人の能力によって得られる収入が決定づけられるリベラルな社会では、格差が増大する。
② 一人一人が固有の利害を持つことになるため、社会がより複雑になる。
③ 共同体で育まれる社会のぬくもりが失われ、私たちは孤独になる
④ 自分らしさ(アイデンティティ)が衝突する
<極度なリベラル化への対応方法>
上記の弊害に対する明確な解が、今はないというのが結論である。できるのはただ、この世界の仕組みを正しく理解し、うまく適応することだけである。
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