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■本、著者の情報
<作者>不詳, 井波 律子 訳
<発行日>2016年6月
<出版社>(株) 岩波書店
■論語とは
論語とは、主に孔子とその弟子との会話を、孔子の死後に弟子が集めて記録した書で、儒教の経典の一つです。紀元前200年頃には成立していたと考えられています。
儒教の経書には、論語の他に『大学』『中庸』『孟子』があります。
■有名な言葉, 心に残った言葉
子曰、巧言令色、鮮矣仁。 (学而1-3)
- 子曰わく、巧言令色、鮮なし仁
-- 先生は言われた「巧妙な言葉使い、取り繕った表情の人間は真情に欠ける」
子曰、不患人之不己知、患己不知人也。 (学而1-16)
- 子曰わく、人の己れを知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う
-- 先生は言われた「自分が人から認められない事は気に病まず、自分が人を認めない事を気に病む」
子曰、温故而知新、可以爲師矣。 (為政2-11)
- 子曰わく、故きを温めて新しきを知る、以て師と為るべし
-- 先生は言われた「古きを学んで新しいことを知れば、人の教師になることができる」
子曰、由、誨女知之乎、知之爲知之、不知爲不知、是知也。 (為政2-17)
- 子曰わく、由よ、汝にこれを知ることを誨(おし)えんか。これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。是れ知るなり
-- 先生は言われた「知っている事を知っているとし、知らない事は知らないとする。これが知ることである」
子曰、朝聞道、夕死可矣。 (里仁4-8)
- 子曰わく、朝(あした)に道を聞きては、夕べに死すとも可なり。
-- 先生は言われた「朝、穏やかな節度と調和にあふれる理想社会が到来したと聞いたら、その日の夜死んでもかまなわい」
子曰、君子欲訥於言、而敏於行。 (里仁4-24)
- 子曰わく、君子は言に訥(とつ)にして、行(こう)に敏ならんと欲す。
-- 先生は言われた「君子は口下手であっても、行動は敏捷でありたいと願う」
子曰、賢哉囘也、一箪食、一瓢飮、在陋巷、人不堪其憂、囘也不改其樂、賢哉囘也。 (雍也6-11)
- 子曰わく、賢なるかな回や。一箪の食(し)、一瓢(びょう)の飲、陋巷(ろうこう)に在り。人は其の憂いに堪えず、回や其の楽しみを改めず。賢なるかな回や。
-- 先生は言われた「えらい男だな、顔回は。弁当箱に一杯のご飯、ひさごのお椀に一杯の飲み物だけで、狭い路地裏に住んでいる。普通の人間ならうんざりして耐えられないが、顔回はその暮らしの楽しさを改めようとしはしない。えらい男だよ、顔回は」
子曰、知之者不如好之者、好之者不如樂之者。 (雍也6-20)
- 子曰わく、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。
-- 先生は言われた「ものごとを知っている者はそれを好む者には及ばない。好む者はそれを楽しむ者には及ばない」
子曰、知者樂水、仁者樂山、知者動、仁者静、知者樂、仁者壽。 (雍也6-23)
- 子曰わく、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。
-- 先生は言われた「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動的だが、仁者は静的だ。知者は楽しく暮らし、仁者は(穏やかに暮らして)長生きする」
曾子曰、可以託六尺之孤、可以寄百里之命、臨大節而不可奪也、君子人與、君子人也。 (泰伯8-6)
- 曾子曰わく、以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべく、大節に臨んで奪うべからず。君子人(くんしじん)か、君子人なり。
-- 曾子は言った「幼い孤児を預ける事ができ、百里四方の国の政治を任せることができ、大事件に際してもその志を奪う事ができない。そうした人こと君子らしい人物である」
子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。 (子罕9-30)
- 子曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。
-- 先生は言われた「知者は迷わない。仁者は悩まない。勇者は恐れない」
顔淵問仁、子曰、克己復禮爲仁。 (顔淵12-1)
- 顔淵、仁を問う。子曰わく、己れを克(せ)めて礼に復(かえ)るを仁と為す。
-- 顔淵画人について尋ねた。先生は言われた「自分の欲望を克服して礼の方式に立ち返ることこそ仁徳である」
孔子曰、父爲子隱、子爲父隱、直在其中矣 (子路13-18)
- 子曰わく、父は子の為めに隠し、子は父の為に隠す。直きこと其の内に在り。
-- 先生は言われた「父は息子のために罪を隠してかばい、息子は父のために罪を隠してかばいます。本当の正直さはその中にあるのです」
子曰、行己有恥、使於四方不辱君命、可謂士矣、曰、宗族稱孝焉、郷黨稱弟焉、曰、言必信、行必果、脛脛然小人也 (子路13-20)
- 子曰わく、己れを行うに恥あり、四方に使いして君命を辱しめざる、士と謂うべし。曰わく、宗族孝を称し、郷党弟を称す。曰わく、言必ず信、行必ず果、コウコウ然たる小人なるかな
-- 先生は言われた「自分の行動に対して恥じる気持ちがあり、四方の国々に使者として赴いた際、君主から受けた命令を辱めることがない。それでこそ士と言えよう。
次に、一族からは親孝行だと称賛され、自分の住む地域の人々からは、年長者に素直だと称賛されることだ。次に、言ったことは必ず誠実に信義を守り、行いは必ず果敢なことだ。カチンカチンに角ばった小人物だが、それに次ぐ条件と言えるだろう」
子曰、君子和而不同、小人同而不和。 (子路13-23)
- 子曰わく、君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。
-- 先生は言われた「君子は人と調和するが、みだりに同調しない。小人はみだりに同調するが、調和しない」
子曰、剛毅朴訥近仁。 (子路13-27)
- 子曰わく、剛毅朴訥、仁に近し。
-- 先生は言われた「勇敢で質実で寡黙なのは仁に近い」
子曰、過而不改、是謂過矣。 (衛霊公15-30)
- 子曰わく、過(あやま)ちて改めざる、是れを過ちと謂う。
-- 先生は言われた「過ちをおかしながら改めない事、これを過ちという」
孔子曰、君子有三畏。畏天命、畏大人、畏聖人之言。小人不知天命而不畏也、狎大人、侮聖人之言。 (季氏16-8)
-- 孔子は言われた「君子には三つの敬虔さがある天命に対する敬虔さ、大人に対する敬虔さ、聖人の言葉に対する敬虔さである」
孔子曰、生而知之者、上也。學而知之者,次也。困而學之、又其次也。困而不學、民斯爲下矣。 (季氏16-9)
-- 孔子は言われた「生まれながらにして知識や知恵が備わっているのは、最上の人間である。学んでこれを身に付けるのは、その次の人間である。
困難を感じつつ、敷いて学ぶのは、またその次である。困難を感じると、しいて学ぼうとしない者は、凡人で下等な人間である」
■本の構成
学而 (がくじ) 第一
為政 (いせい) 第二
八佾 (はちいつ) 第三
里仁 (りじん) 第四
公冶長 (こうやちょう) 第五
雍也 (ようや) 第六
述而 (じゅつじ) 第七
泰伯 (たいはく) 第八
子罕 (しかん) 第九
郷党 (きょうとう) 第十
先進 (せんしん) 第十一
顔淵 (がんえん) 第十二
子路 (しろ) 第十三
憲問 (けんもん) 第十四
衛霊公 (えいれいこう) 第十五
季氏 (きし) 第十六
陽貨 (ようか) 第十七
微子 (びし) 第十八
子張 (しちょう) 第十九
堯曰 (ぎょうえつ) 第二十
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