【感想】中原 淳 著 『駆け出しマネジャーの成長論』



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

産業:60

文学:90

公開日:2023/2/3    

■本の情報
<作者> 中原 淳
<発行日> 2021年3月 (中公新書ラクレ) ※ 増補版になります

以下黒字が本の要約、緑字が私の感想/コメントです。

■感想
タイトルのとおりマネジャーになりたての人にとっての心得であると同時に、部下を持っている人、マネジャー歴が長い人にとっても気づきを得られたり、マインドを再セットできる内容であると思いました。 しかし4章までが理屈やデータなども踏まえ分かりやすくまとめられていましたが、5章以降は座談会の内容等が載せられており「あるある」の内容として共感を得ることはできましたが、 具体的な解決案は提示されておらず、単なる読み物という位置づけでした。

特に第7章と第8章の「残業は何故なくならないか」にフォーカスを当てた章についても、一昔前には横行していたサービス残業がある時代の話の色が強く、残業を無くす解決策はなく、またそもそも残業はいけない事なのかについても言及して欲しかった。 (個人的にはかなり興味のあるテーマだったのですが。。)

なお、この手の自己啓発的な書籍は、いくらためになることが書かれていても、読み手自身が当事者意識を持って読まないと中身が入ってきません。 従ってそう意味で読む人を選ぶ本ではあります。もしかして、どうやってマネジャーの仕事をこなすかより、どうやったらマネジャーの地位に付けるのかについて書かれている内容だったら、読む人の範囲がもっと広がるのではないかと思いました。 (マネジャーになる前にマネジャー相当の仕事をできるようになった人が、必ずしもマネジャーになるのではない、と私は思っています)

■要約
以下のような構成になっています。ハロルド・クーンツ氏など著名な方の言葉を引用している部分があります。


<挑戦課題について>
① 部下育成
誰を育てるのか。その人の能力を伸ばすために、どんな業務経験を振るのか。育成に協力的な職場として、点ではなく面での育成ができるようにする。

② 目標咀嚼
誰もが理解できる言葉で目標を示し、部下に納得してもらい、モチベーションを高めて行動に移してもらう。TOPからおりてきた目標をマネジメント成りの言葉で翻訳すること。 最後にどのようなポジティブな世界が広がっているかを伝える。

③ 政治交渉
相手(上司や関係先)を理解し、相手との関係を構築し、段取りを踏んだロジックを作り出す。他部門を説得する数字と錦の御旗を用意する。

④ 多様な人材活用
年長者への経緯が必要。一旦立てておいて、それでも理解してもらえないなら立場上こう言わざるを得ないと伝える。派遣社員に対しても仕事の全体像を示して意味付けする。 最も大切なことは「職場を見る」こと。コロナでリモートワークが増えた今、職場を見るという事が非常に難しくなってきている

⑤ 意思決定
意思決定に必要な判断基準を作るために、現場や部下からの情報は謙虚に聞く。しかしそれを鵜吞みにしてはいけない。真実を読み取ることが大切。「迅速な意思決定ができること」は「いつも考えていること」と同義。

⑥ マインド維持
自分自身のマインド維持のこと。自分の意見や考えに耳を傾けてくれる他者の存在が必要。折に触れて振り返りを促してくれる人(緊張屋さん)、励ましてくれる人(安心屋さん)が必要。

⑦ プレマネバランス
マネジメントといえどもプレイヤーとして動く場合があるが、そのバランスが必要。心持ちはプレイヤーを捨てるという位がちょうど良い。時間の断片化を防いで効率的に仕事を行う。


■その他印象に残ったこと

・マネジャーが経験しなければならない変化は、一つは実務担当者時代の未経験分野を新規に学びなおすこと、もう一つは、場合によっては実務担当時代の知識やスキルを捨て去ること。

・上司にジャッジしてもらうにはタイミングがあり、その前にどれだけ情報を入れられるかで決まる。いきなり情報をたくさん持っていっても、判断してもらえない。

・グローバル化に対応するという事は「言葉を尽くすこと」である。「阿吽」「察し」「背中」はグローバル化にそぐわない。

・マネジャーが行う意思決定は「白黒はっきりしたもの」であることは少なく、「グレーな問題」を扱うことの方が多い。白黒はっきりしたものは既に現場レベルで行われている。

・マネジャー目線に立った組織からの支援は極めて少ない。

・OJT指導こそがマネジャー育成の第一歩。

・ルーティンのオペレーション業務に慣れてくると「目線が下がって」くる。

・優れたマネジャーになる人は「部門を超えた連携」「全社レベルの変革」に従事するほか、「部下育成」の経験を積んでいる。

・経営層にとって「学ぶ」とは、自らが学ぶことでもあるが、自社の社員の学びの環境を自らが整備していくことでもある。

・部下に会社の方針を伝える時、いろいろと問題を指摘されると「それはさんざん考え抜かれたこと」と言いたくなる。

・残業は「集中」「感染」「麻痺」「遺伝」する。





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読んだ本のこと

情報科学:00

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歴史:20

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