人名の付いた法則,効果,理論(エポニム)まとめ



心理学, 哲学, 行動経済学

公開日:2022/12/19    

人名に由来する言葉をエポニムといいますが、法則、効果、理論などに関するエポニムを説明します。

■法則、効果、理論に関するエポニム

<アンナ・カレーニナの法則>

アンナ・カレーニナの法則とは、ロシアの小説家トルストイ(1862-1910)の小説「アンナ・カレーニナ」から引用された法則で「幸せな家族はいずれも似通っているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある」というもの。 幸せになるためには、あらゆる条件が満たされないといけないので結果的に似通ってくるが、 不幸はそのどれかが満たないと不幸になるため、その形は千差万別である。

<イライザ効果>

イライザ効果とは、チャット型コンピュータのイライザにちなんだもので、相手がコンピュータと分かっていても、無意識にコンピュータの動作が人間と似た動作をすると思い込んでしまうものです。

<クーリッジ効果>

クーリッジ効果とは、フランク・A・ビーチが提唱したもので、オスが同じメスとの交尾に飽きても、違うメスと出会うと性欲が回復するというものです。 アメリカの第30代大統領 カルビン・クーリッジにちなんでいる。

<グレシャムの法則>

グレシャムの法則とは、イギリスの貿易商 トーマス・グレシャム(1519-1579)が提唱した法則で、 「良質の貨幣と悪質な貨幣が同一の価値をもって流通している場合、良質の貨幣は市場から消え悪い貨幣が流通する」という法則。 「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉で有名。

例えば、組織の中で手順書を守ってやる仕事より、手順書を守らない仕事のやり方が幅を利かせてしまうこと、など。

<ザイアンス効果>

ザイアンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンス(1923-2008)が提唱したもので、 「ある刺激に繰り返し晒されると、刺激に対する態度に変化が生じる」というもの。「単純接触効果」ともいう。 例えば、遠くの相手より、身近な相手に対して好意を寄せていくということがあります。

<ジャネーの法則>

19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが発見した法則で、「人間が感じる年月の長さは、年長者ほど短く、年少者ほど長く感じられる」というもの。

<スティグラーの法則>

スティグラーの法則とは、アメリカの統計学者スティーブン・スティグラー(1941-)が提唱した法則で「科学的発見に第一発見者の名前が付くことはない」というもの。

例えば、ガウス分布はガウスの前にド・モアブルによって発見されている。またスティグラーの法則自体もロバート・マートンによって既に提唱されている。

<ダニング・クルーガー効果>

ダニング・クルーガー効果とは、心理学者のデヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱したもので、 「能力の低い人は、自分の能力が低いことを認識できず、自分を過大評価する」というもの。 反対に「仕事等で成功し評価を得られているのにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまう」現象をインポスター症候群といいます。

<ツァイガルニク効果>

ツァイガルニク(ゼイガルニク)効果とは、ソビエト連邦の心理学者ブリューマ・ゼイガルニク(1901-1988)が提唱した事象で、 「終わったことよりも途中で挫折したり中断したことの方が記憶に残る心理現象」のこと。

例えば、完了した漫画より未完の漫画の方が記憶に残る、など。

<パーキンソンの法則>

パーキンソンの法則とは、イギリスの歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(1909-1993)が提唱した法則で 「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というもの。

例えば、どんなに大きな冷蔵庫を買っても必ず満杯になる、あるいは、マイコンのメモリはどんなに潤沢に用意しても必ず一杯になる位使用する、など。

なおパーキンソン病の由来となったパーキンソン氏とは別人です。

<ハインリッヒの法則>

ハインリッヒの法則とは、アメリカの保険会社社員ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(1886-1962)によって提唱された法則で、 「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と、300件の怪我に至らない事故がある」というもの。

<パレートの法則>

パレートの法則とは、イタリア経済学者ヴィルフレド・パレート(1848-1923)によって発見された法則で 「全体の数値の大部分(8割)は、全体を構成する一部の要素(2割)の数値によって構成されている」というもの。80:20の法則ともいいます。 詳細はこちら。

<プルースト効果>

プルースト効果とは、フランスの作家マルセル・プルーストの小説に出てきた描写からきており、香りによってその時の記憶がよみがえる現象のこと。

<プロテウス効果>

プロテウス効果とは、ギリシア神話に登場する姿を変えられる神にちなんだもので、自分のアバターの見た目が、自分の行動に影響をあたえるというもの。 例えば、アバターの見た目が凶暴な見た目だったら、自分の行動も狂暴になる。など。

<マンデラ効果>

南アフリカの指導者ネルソン・マンデラ(1918-2013)に由来しており、本人は本当は生きているのに、既に獄中死していると多くの人が認識していたということから、 正しくない情報が多くの人に認識されている現象をいいます。卑近な例では「千と千尋の神隠し」の真のエンディングが上映初期の映画館で流れていた、という噂があるなどです。

■人名が付かない法則、理論

<カクテルパーティ現象>

カクテルパーティ現象とは、パーティー会場の様に騒がしい場所においても、注意を向けた人の会話が聞こえるということにちなんだ現象で、 様々なノイズの中から選択的に情報を抽出できるという現象です。

<ピグマリオン効果>

教師の(生徒が優秀であるという)期待によって生徒の学力が向上するというもの。発案者の名前を取ってローゼンタール効果とも呼ばれる。 これは教師の期待が、生徒に手厚い指導を行うという形で現れるからだと考えられている。ただし効果は限定的で、その生徒の真の能力が分かるに従い教師の期待(手厚い指導)が減っていくという。 なおこの効果は、教師の期待が生徒に伝播し生徒のやる気を引き出すというものではない。(結果を出す前に教師が褒めると、子どもはやる気を低下させるという説もある)

<マクドナルド理論>

マクドナルド理論とは、ランチに行く場所を話しあっても何もアイディアが出てこないとき、「マクドナルドに行くこと」と提案すると、 皆がそれを嫌がって急にいろいろなアイディアが出るというものにちなんでおり、「実現可能で最低な案」を提案すると、より良いアイディアが生まれてくるというもの。

<割れ窓理論>

割れ窓理論とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング(1935-2019)が考案した理論で、 「建物の窓が割れているのを放置すると、誰も注意を払わなくなり、やがて他の窓も全て壊される」というもの

軽微な犯罪であってもしっかり取り締まらないと、治安は良くならないという事を示している。




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