国債とは, 日銀財政との関係



経済・経営

公開日:2022/1/15 , 最終更新日:2024/5/3  

■国債とは

国債とは、政府が発行する債券(借金の手形)の事です。国債を保有することで民間は金利を得ることが出来ます。2022年現在の国債発行先の内訳は以下となります。



なお、日銀も国債を保有しておりますが、日銀が直接国債を買い取ることは法律で禁止されております。にもかかわらず日銀が国債を保有している理由は、民間銀行が保有している国債を買い取っているからです(買いオペという)。

<金利の決め方>
金利には短期金利と長期金利があり、短期金利は日銀の金融政策によって決まりますが、長期金利は将来の期待インフレ率、期待成長率等によって決められます。 国債長期金利は住宅ローン金利など民間で扱われる金利に影響しますので、景気が良くなると過熱を抑えるために金利を高くして、景気が悪くなると金回りをよくするために金利を低くします。 2022年現在は金利が非常に低い(0.05%)ことからも、景気が悪い状態であると言えます。なおバブル期の金利は5%くらいありました。

■国債が増えすぎると、国の財政は破綻するのか

国債は国の借金なので、このままではギリシャなどの様に借金を返せなくなって破綻するといわれている一方、国債の半分は日銀が持っているので、日銀が金を返せと言わない限り(そして日銀は返せとは言わないので)破綻しないとも言われています。 これはMMT(現代貨幣理論:Modern Monetary Theory)といわれており、近年注目されている理論です。

<現代貨幣理論とは>
自国通貨を発行できる国は、インフレにさえ気をつけておけば、どれだけ国債を発行しても財政破綻にはならないという経済理論。 つまりインフレ率を国債発行可否の判断基準としておけば良く、日本の様に自国通貨に信用のある国は、まだ国債を発行しても良いという事になります。

現代貨幣理論への批判点
この理論が実現するためには、民間が国債を継続的に購入する事が前提となっています。民間が国債を買わなくなるケースは、国債の金利が低い時であると言われております。 金利が低くても継続的に国債を発行するために、民間が一旦国債を引き受けた後すぐに日銀が買い取ればいいと思うかもしれませんが、 それでは日銀が国債を直接買い取っている事と同義ととらえられ、円の信用が失われハイパーインフレが起きると考えられております。

■日銀の財政

日銀の主な収入源は通貨発行益となります。通貨発行益とは、発行した銀行券と引き換えた有利子資産(国債、貸出金等)から得る利息収入のことです。 一方日銀の支出は、「日銀当座預金」として民間銀行から預かったの利子の支払いや、お札の製造費、人件費などの経費となります。

<日銀が債務超過になる場合>
日銀当座預金の内訳として、法定の準備預金や決済資金として預けているお金の他に、民間から買い入れた国債の代金が含まれます。 通常であれば、国債の利息収入に対して支出(民間銀行に支払う利息や経費など)の方が小さいので、収益がマイナスになることはありませんが、 民間銀行に支払う金利が上昇すると、過去に購入した国債の金利は低いままとなるため、収入より支出の方が大きくなって(これを逆ざやという)収益がマイナスになり、 この状態が続くと自己資本がマイナスになる債務超過となります。円安時に簡単に金利を上げることが出来ない理由の一つに、この債務超過懸念があります。








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