名誉毀損罪 , 侮辱罪 , 誹謗中傷の違い



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公開日:2022/1/8    

■名誉毀損罪とは

名誉毀損罪とは刑法第230条に規定されております。

<刑法第230条>

1. 公然と事実を摘示し人の名誉を毀損した者は、その事実の有無に関らず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2. 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。


<刑法第230条の2>

1.前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2.前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3.前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。


<解説>
名誉の毀損とは、社会的評価を低下させることで、事実の摘示とは、証拠によって証明できる具体的な事実のことです。名誉毀損罪になるか否かのポイントは、

① 社会的評価を低下させていることが大前提
② 嘘でも真実でも、事実の摘示であれば名誉毀損罪となる
③ ただし公共の利益にかなうなら、真実であれば名誉毀損罪とならない


<名誉毀損になるケース>
例えば以下の様な、事実か否かが判別可能なことを公然の場で言った場合は名誉毀損になる可能性があります。

・ Aさんは不倫をしている
・ Aさんは昔、犯罪を犯したことがある


<名誉毀損にならないケース①>
一方で、以下は証拠によって証明できるものではなく、あくまでも論評であるとした場合は、名誉毀損にならない可能性があります。

・ Aさんは差別主義者だ
・ あそこの病院の医者は、やぶ医者だ


ただし上記でも本当に論評か否かは、明らかにする必要があります。例えば、言った本人がその医者に診てもらった経験もないのに、やぶ医者だと言ったらNGです。

<名誉毀損にならないケース②>
公共の利益にかなう事、特に公務員や国会議員に関することは、それが真実であれば名誉毀損になりません。例えば以下。

・ Aさんは犯罪を犯している(まだ誰にも知られていない場合)
・ 国会議員のBさんは不倫をしている


■侮辱罪とは

侮辱罪とは刑法第231条に規定されております。

<刑法第231条>

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留(1日以上30日未満の拘置)又は科料(千円以上一万円未満)に処する。


侮辱とは、相手を軽んじたり辱めることです。例えば「バカ」「ブス」などは侮辱罪に該当する可能性があります。

<名誉毀損罪と侮辱罪の違い>
例外はありますが、大きく言うと以下です。



■誹謗中傷とは

誹謗は他人へ悪口を言ったり罵ったりする行為。中傷は根拠のない嘘やでたらめを述べる行為で、刑法用語ではありません。

■ヘイトスピーチとは

ヘイトスピーチとは、特定の人種や民族への差別的な言動の事です。誹謗中傷の一種と考えます。




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