ジョン・ロールズの哲学



政治思想, 哲学, 宗教

公開日:2021/6/26    

■ジョン・ロールズとは
ジョン・ロールズ(1921~2002)はアメリカの政治哲学者。主義はリベラリズム。正義、道徳とは何かを、平等と社会契約の視点で論じた。

<ジョン・ロールズの考え>
著書「正義論」(1971)の中で、正義を考えるためには、全員が平等の初期状況において人々がどの様な原理に同意するかを考えればよいという。 自分の性別、人種、宗教、社会的立場も、健康状態も何もわからない「無知のベール」を被った状態でどんな判断を下すかということである。自分が大金持ちかもしれないし、ホームレスかもしれない、少数派の宗教を信仰しているかもしれない。 ロールズは、そのような状態では言論の自由や宗教の自由がすべての人に平等に与えられ、更に富の平等な分配がおこわなれると考える。従って、功利主義リバタリアニズムもロールズは否定する。

<格差原理とは>
ロールズが打ち出した格差原理とは、個人の才能を社会全体の資産とみなし、それらの才能が生み出した利益を全員で分かち合うべきという考え方です。これは個人の生まれや才能は結局のところ運がよかっただけである。 また努力すらも、努力できる才能を持っていた(努力できる遺伝子を持っている)に過ぎないという考えに基づいております。例えば、マイケルジョーダンがバスケットボールで成功したのは、体格が良かったのも運、努力できる才能を持っていたというのも運、ちょうどバスケットボールがある時代に生まれたのが良かったという運です。

しかしこの主張に対しては、人々のやる気を損ない、有能な人がそれほど難易度の高くない職業についたり、スポーツのスーパースターなども生まれなくなってしまうという批判がある。

<高学歴の人が陥りやすい考え>
高学歴の人ほど、自分は人種差別や女性差別やLGBT性差別にはとても敏感で、人を差別しない人だと思い込んでいるが、一方で労働者や貧しい人、太っている人や不細工な人や低学歴な人を差別している傾向にあるという実験結果があります。 それは、貧しさや低学歴は自分の努力で何とかなるからだと思っており、それは差別に当たらないと考えているからです。高学歴の人ほど先ほど説明した格差原理を認めたがらない傾向にあります(自分の成功が運に基づいているとは認めたがらない)。




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