イカロスの物語 (ギリシャ神話)



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公開日:2025/5/1    

■イカロスの物語

イカロスは名工ダイダロスの息子です。ダイダロスは天才的な発明家であり建築家でもありクレタ島の王ミーノースに仕えていました。彼は有名な「ラビュリントス(迷宮)」を設計した人物で、この迷宮には怪物ミノタウロスが閉じ込められていました。 しかしダイダロスは後にラビュリントスの攻略法をアリアドネーに教えたことでミーノース王の怒りを買い、息子イカロスとともにクレタ島に幽閉されてしまいます。 地上も海も監視されていたため逃げ道は空しかないと考えたダイダロスは、ある奇抜な方法で脱出を計画します。 それは――羽根と蝋(ろう)で翼を作り、空を飛ぶことでした。父ダイダロスは鳥の羽根を集め、蝋で固めて二組の翼を作りました。息子イカロスにはこう言い聞かせました。

「あまり高く飛びすぎてはならない。太陽に近づくと蝋が溶けてしまう。 また、低く飛びすぎてもいけない。海のしぶきで羽根が濡れてしまう。中空を、慎重に飛ぶのだ。」

こうして2人は空へと舞い上がりクレタ島からの脱出を果たしました。しかし空を飛ぶというかつてない自由に、イカロスは心を奪われました。 そして父の忠告を忘れてしまい、もっと高く、もっと高くと翼を羽ばたかせていきました。しかし太陽の熱は蝋を溶かし、羽根はばらばらに崩れ落ちてしまいます。イカロスはそのまま空から落下し、エーゲ海に沈んで命を落としてしまいました。 父ダイダロスは、悲しみにくれながら飛び続け、ようやくイタリアにたどり着いたとされます。イカロスが落ちた場所は、彼の名にちなんで「イカリア海」と呼ばれるようになりました。




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