ギリシャ哲学の歴史



政治思想, 哲学, 宗教

公開日:2024/4/14    

■ギリシャ哲学の歴史

古代ギリシャ時代において、多くの哲学者が排出されました。


■人物

<ソクラテス, プラトン>
こちらで説明。

<プロタゴラス>

アブデラ出身。「人間は万物の尺度である」という言葉が有名。人間を中心とした相対主義的な考え方として、絶対的、普遍的な真理は存在しないと考える。 プロタゴラスが金銭を受け取って「徳」について教えていることに対し、「徳は人に教えることができるのか?」という問いを、プロタゴラスはソクラテスから投げかけられた (プラトン著「プロタゴラス」参照)。

またプロタゴラスは「神々は存在するとも存在しないともいえない」という懐疑的な説も唱えており、一説によるとこの発言がもとでアテネを追放されたともいわれている。

<ゴルギアス>

シチリア島のレオンティノイ出身。修辞学(弁論術)者。ゴルギアスによると、弁論術の力を身に付ければどんな問題でも人々を説得し、自分の思い通りになるという。 中身が正しいか正しくないかはおいておき、限られた時間の中で様々な技法を駆使して相手を正しいと信じ込ませるだけの手法に過ぎないやり方を、ソクラテスやプラトンは痛烈に批判している (プラトン著「ゴルギアス」参照)。

<ヘラクレイトス>

イオニア地方のエフェソスで生まれる。「万物は流転する」という言葉が有名。万物の根源は一定のものではなく、常に変化すると考え、その基になるのは火であるとした。

<エピクロス>

エーゲ海のサモス島にアテネ市民の子として生まれ、アテネにエピクロスの園と呼ばれる学園を開いた。デモクリトスの原子論を継承。彼の思想はエピクロス派と呼ばれる。 原子の不規則な動きがすべての事象が予め決定されているのではなく、われわれが自由であることを保障するとした (自由意志の肯定)。 また、個人の幸福は快楽を得ることによって実現するという快楽主義を説いた。ただしそれは一時的に感じられる快楽ではなく、それはかえって心をかき乱し不幸の原因となる。 最大の快楽とは、様々な不安や死の恐怖から解放された状態であり、それは徳に従って生きることによって実現できるとした。

有名な言葉に「あなたが死を恐れているうちは、死はまだ来ていない。本当に死がやってきたときには、あなたはもういない。したがって、あなたと死が出会うことはない。死について悩み恐れるのは意味がない」がある。

<ゼノン>

キプロス島に生まれる。人間の幸福は自然本性に一致して生きることであると主張。 人間の自然本性はもともと宇宙全体を貫くロゴスによって支配されているが、様々な情念がその理性に従う事を妨げている。 幸福の実現のためには、情念に支配されない状態を目指す必要があるとし、欲望や感情に惑わされず、理性による幸福を追求した。この考えを禁欲主義といい、この支持する人たちをストア派という。

この考えは、ローマ帝国時代のキケロや後の自然法の思想にも影響を与えた。

<ヘシオドス>

哲学者ではなく詩人ですが、ヘシオドスの言葉をプラトンやアリストテレスが引用することがあります。

あらゆることを自ら悟り、後々に、また最後には何がより善いか示す人は、最も優れた人
立派なことを悟る人に耳を傾け、それに従う人も優れた人
しかし、自ら悟ることもなければ、他人の言葉を聞いて心に刻むこともないような人は、どうしようもない人


■ギリシャ哲学用語

<アルケー>
物事全般の根本原理のこと。

<アレテー (徳)>
現代では徳とは、立派な行いを実践することによって身につく、その人の品性/道徳的高尚さのことであるが、古代ギリシャにおいては、その物が持つ固有の優れた性質を意味する。 例えば、馬なら早く走る能力、ナイフなら鋭い切れ味のように、人間以外でもそれぞれのアレテーを持っている。

古代ギリシャにおいては、アレテーを持つ優れた人物が政治家として成功し、社会を動かすことができていたため、アレテーを持つことを非常に重要視されていた。 特に、知恵、節度、勇気、正義、敬虔などが人間が持つべきアレテーとして重要視されていた。

<エロス, フィリア, アガペー>
いずれも日本語で「愛」という概念に近いですが、正確にはそれぞれの意味は異なります。

エロスは、自分の中に満たされていないものを求めようとする欲求のこと。その中でも特に、異性間あるいは同性間の性的な愛を意味します。 フィリアは、家族や友人との間で成り立つ愛のことです。アガペーはフィリアと同様に広く好意を表す概念ですが、性的な愛も含まれます。 アガペーはキリスト教において、相手に与える無償の愛という意味がありますが、ギリシャ時代にそのような意味はなかったとされています。

<フィロソフィア(哲学)>
フィロ(愛)、ソフィア(知)からなっており、哲学とは「知を愛する」ということ。

<ソフィスト (哲学者)>
「賢いことを知っている人」の意。当時ソフィストは、胡散臭い存在であると考える人も多くいて、社会的評価が必ずしも高くはなかった。

<レートリケー (弁論術)>
政治の技術とは、巧みな弁論を行う事が重要視されており、ソフィストとは人を弁舌の上手い人にしてくれる達人と考えられていた。ソクラテスとプラトンは、弁論術を教えるソフィストを真っ向から批判した。 こちらでも説明あり。

<ピュシス (自然)とノモス (慣習)>
ピュシスとは、人間が取り決めた約束事ではなく、人間の思惑とは独立に存在している、客観的な世界の姿のこと。 ノモスとは、人間によって作られた約束や決まりごとのこと。社会的風習や法律や倫理もノモスの一種である。




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