天地創造 (ギリシャ神話)

■ 天地創造

世界の始まりは、何も存在せず全てが混じり合った混沌である、カオスが広がっていました。 カオスの中から大地の女神ガイアが生まれます。そして、深淵のタルタロス、愛の力を象徴する神エロスもまた、彼女とともに姿を現しました。

ガイアは自らの力で、天空を司る神ウラノスと、荒々しい海を象徴するポントスを生み出します。 やがて彼女はウラノスと結ばれ、多くの神々をこの世にもたらしました。最初に生まれたのは、ティタン神族と呼ばれる12柱の神々(6人の男神と6人の女神)です。

さらにガイアは、一つ目の巨人キュクロプスと、五十の頭と百の腕をもつ恐るべき怪物ヘカトンケイルたちを産みました。 ところがこれを目にしたウラノスは、その恐ろしさに震え、彼らを再びガイアの胎内へと押し戻し、地下深くに封じ込めてしまったのです。

息子たちを理不尽に閉じ込められたことに憤ったガイアは、ティタン神族に助けを求めました。 「父ウラノスに、罰を与えてほしい」　その呼びかけに応えたのは、末子にして最も賢く力強いクロノスでした。

ある夜、ウラノスがガイアと交わろうとしたその瞬間、クロノスは母から授かった大鎌を手に、父の性器を切り落とします。 それを彼は海へと投げ捨てました。すると波立つ泡の中から一人の美しき女神が現れます。その名はアフロディーテ。神々の中でもひときわ美しいと謳われる、愛と美の女神です。 天上へと昇ったアフロディーテは、愛の神エロスに深く慕われました。彼は彼女をまるで母のように感じ、二人はまるで親子のように、寄り添って暮らすことになりました。

その後ウラノスに代わり新たに神々の王となったのは、父を打ち倒したクロノスでした。 彼は女神レアーと結ばれ、次々と神々の子をもうけました。やがてその子らは、のちに「オリュンポス十二神」として知られるようになります。

しかしクロノスは、かつて自分が父を倒したことから、「いつか我が子に滅ぼされるだろう」と予言され、それを恐れるあまり、生まれた子どもたちを次々と飲み込んでしまったのです。 この非道な行いに終止符を打ったのが、末子ゼウスでした。ゼウスは兄弟であるポセイドン、ハデスと力を合わせ、父クロノスに戦いを挑みます。 神々同士の壮絶な戦争は、天地を揺るがす激闘となり、実に十年ものあいだ、勝敗は決しませんでした。

劣勢を打開するため、ゼウスたちは地下の牢獄に幽閉されていた、一つ目のキュクロプスと、百の腕を持つヘカトンケイルたちを解放します。 彼らの力強い援軍を得たことで、ついにゼウスたちはティタン神族を打ち倒すことに成功したのです。

戦いののち、ゼウスは父クロノスに代わって神々の王の座に就きました。 兄のポセイドンは海の王として、ハデスは冥界の支配者として、それぞれの領域を治めることとなりました。

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