ピュグマリオンの物語 (ギリシャ神話)

■ピュグマリオンの物語

ピュグマリオンはキプロス島の王で、芸術に秀でた優れた彫刻家でもありました。しかし、彼は当時の女性たちの堕落した振る舞いに幻滅し、現実の女性に心を閉ざしてしまいます。 代わりに、自分の理想とする女性像を追い求め、彫刻にその思いを込めるようになりました。

ピュグマリオンはある日、象牙から一体の女性像を彫り上げます。その彫像はあまりにも美しく、まるで生きているかのようでした。彼はその作品に心を奪われ、まるで恋人のように接するようになります。 衣服を着せ、装飾品を与え、話しかけ、口づけまで交わしました。ピュグマリオンはこの像を「ガラテア」と呼ぶこともありますが、元々の神話では名前は与えられていません。

ある日アフロディーテを讃える祭りが開かれ、ピュグマリオンも神殿に参拝しました。 彼は「自分の妻となってくれるような女性をください」と願いましたが、あえて「彫像を生き返らせてください」とは言いませんでした。それでもヴィーナスはその願いの真意を汲み取り、応えることにしました。

ピュグマリオンが神殿から帰宅し、彫像に触れたとき、不思議なことが起こります。象牙の肌は温もりを帯び、やがて柔らかくなり、本当に命を持った女性へと変わったのです。 そして二人は結婚し幸福な生活を送りました。ピュグマリオンと生き返った女性の間には娘「パポス」が生まれ、その名はキプロスの都市パフォスの語源となったとも言われています。

■ピュグマリオン効果とは

ピュグマリオン効果とは、心理学者ローゼンタールとジェイコブソンによって提唱された心理学的現象で、他者からの期待が、実際にその人の能力や成果に影響を与えるというものです。 たとえば、教師が「この生徒は伸びる」と期待を抱くと、実際にその生徒の成績が向上する傾向が見られる、といった事例が知られています。 この現象が「ピュグマリオン効果」と呼ばれるのは、ピュグマリオンが自ら彫った像に強い願いと愛情を注いだ結果、生きた人間になったことに由来しており、期待や信念が現実を動かすという点で似ているというものです。

関連記事一覧 トップメニューへ 政治思想, 哲学, 宗教, 神話 哲学 ・ギリシャ哲学 ・哲学者, 政治学者 ・中国の哲学者 政治思想 ・社会主義・共産主義 ・功利主義 ・快楽主義 ・自由主義(リベラリズム) ・共同体主義 ・右翼,左翼,保守,革新 ・君主制, 共和制 ・イデオロギー, プロパガンダ 宗教, 神話 ・世界の宗教, 神話 ・旧約聖書 ・新約聖書 ・仏教 ・モーセの十戒, キリストの教え ・メソポタミア神話 ・エジプト神話 ・北欧神話 ・インド神話 ・中国神話 ギリシャ神話 ・神々の系図 ・天地創造 ・トロイア戦争, アキレウス ・オデュッセイア ・ペルセウス, アンドロメダ ・ヘラクレス ・イカロス ・テセウス ・ピュグマリオン ・プロメテウス, パンドラ ・デウカリオンの洪水伝説 日本 ・神道 ・十七条の憲法 ・五箇条の御誓文, 教育勅語 人物 ・ソクラテス, プラトン ・アリストテレス ・エウドクソス ・ブッダ ・孔子 ・ジョン・ロールズ ・ジョン・ミアシャイマー ・イマヌエル・カント