中国の神話時代



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公開日:2025/3/12   

中国の神話は、夏王朝より前の時代の話とされていますので、BC2000より前の話です。

■盤古

盤古(ばんこ)は、中国神話における天地創造の神であり、世界を最初に形作った存在とされています。 はるか昔、この世界は混沌とした卵のような状態で、天と地の区別もなく全てが一体となっていました。その混沌の中から一柱の神が目覚めます――それが盤古です。 盤古が生まれたとき天地はまだしっかりと分かれておらず、空と大地が密着し非常に窮屈で混沌とした世界でした。息をすることすら困難なこの世界を正そうと、盤古は決意します。 彼は手にした巨大な斧で混沌を切り裂き、天と地とを分け始めました。そしてそれだけでは終わらず、毎日少しずつ自身の背丈を伸ばしながら、天を押し上げて地から引き離していきました。 この作業は一万八千年にも及びました。その間、天は日に一丈(約3.3メートル)高く、地は一丈深く、そして盤古自身も一丈ずつ大きく成長していったといわれます。 ついには天と地の間に広大な空間が生まれ、世界は秩序を得て現在のような姿に整えられたのです。 盤古のこの偉業によって、世界に明確な構造と安定がもたらされ、後に続く神々や人間たちが生きる舞台が整えられたと信じられています。

■后羿

むかし、天には十の太陽がありました。それらは日ごとに交代で空を巡り、大地に光と温もりを与えていました。ところがある日、十の太陽が一度に空に昇ってしまいます。 空は灼熱に満ち、川は干上がり、山は焼け、草木は枯れ、人々は耐えがたい苦しみに見舞われました。 この事態を見かねた天帝は、地上に遣わしたのが后羿(こうげい)です。彼は神にも匹敵する弓の名手で、次々に太陽を射落としました。 ひとつ、またひとつと太陽が空から墜ちていき、燃え尽きた灰となって地に降りました。ついに九つの太陽が消え去り、ただ一つだけが空に残されました。 それは大地に再び光と命を与えるために、后羿があえて残したものでした。こうして地上には再び秩序と平穏が戻り、人々は后羿を大いなる英雄として讃えました。

<嫦娥>
后羿には嫦娥(じょうが)という美しい妻がいました。彼は西王母(せいおうぼ)から授かった不老不死の霊薬を手に入れます。しかし、それを自分一人で飲むことを良しとせず、嫦娥とともに生きる未来を選んで、薬を大切に保管していました。 ある日羿が不在のとき、薬を狙って家に押し入った男が現れます。嫦娥は薬を守るため、自ら薬を飲み天へ昇ることを選びました。 彼女の体は空へと舞い上がり、やがて月へたどり着き、そこで静かに暮らすようになったといいます。 后羿は月を見上げては、そこに映る愛しい妻の面影に思いを馳せたといわれています。この物語は中国の中秋節において、月を眺めて嫦娥を想う風習の由来にもなっています。

■三皇五帝

中国最古の王朝である「夏」より前の時代にいたとされる伝説の人物の事で、様々な分類の仕方がありますが、以下となります。

 ・三皇:伏羲(ふっき), 女媧(じょか), 神農(しんのう)
 ・五帝:黄帝(こうてい), 顓頊(せんぎょく), 嚳(こく), 尭(ぎょう), 舜(しゅん)

尭や舜は儒教において聖人と崇められており、論語にも二人の素晴らしさが述べられています。






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