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■ヘラクレスの生い立ち
ヘラクレスは、ゼウスと人間の女性アルクメネとの間に生まれた半神半人の英雄です。ゼウスはアルクメネの夫アンピトリュオーンに姿を変えて近づき、彼女と結ばれました。
彼の名は「ヘラの栄光」を意味する「ヘラクレース(Herakles)」とされます。これは皮肉にも、ヘーラー女神の執拗な妬みが生涯にわたって彼を苦しめ続けたためとされます。
幼少期、彼の寝床に二匹の大蛇が忍び込んだことがありました。これはヘラが差し向けたものですが、赤子のヘラクレスはその蛇を素手で締め殺してしまいました。
若き日に武術、弓術、音楽などあらゆる技芸を修め、成人してからはテーバイの王女メガラーと結婚し、子どもももうけて幸福に暮らしていたのです。
しかし、ヘラの呪いによってその家庭を自らの手で壊してしまうことになります――それが、試練への出発点でした。
■ヘラクレスの十二の功業
ヘラクレスはもともと、誰よりも強く、英雄としての素質に恵まれた人物でした。しかし、ある悲劇的な事件が起こります。
それは女王ヘラの呪いによって、ヘラクレスは突如として正気を失い、自分の子どもたちを自らの手で殺してしまったのです。
正気を取り戻したヘラクレスは自分の犯した罪の大きさに苦悩し、自らの贖罪(しょくざい)を望みました。デルポイの神託所で神アポローンに問いをたてたところ、「ミュケーナイの王エウリュステウスに仕えて、10の勤めを果たせ」とのお告げを受けました。
そのとおりヘラクレスは勤めを果たそうとしますが、その中で二つの功業は無効とされてしまったので、最終的に「十二の功業」を果たすことになりました。
第1の功業:ネメアーの獅子を退治する
最初の試練はネメアーの谷を荒らす恐ろしい獅子の退治でした。この獅子はどんな刃物も通さない強靭な皮を持ち人々を恐怖に陥れていました。
ヘラクレスはまず弓で攻撃しましたが矢は全く効きません。そこで彼はこん棒で獅子を打ちつけて怯ませ、獅子が逃げ込んだ洞窟の入口を大岩で封じ込めました。そして三日三晩暗闇の中で死闘を繰り広げ、ついにはその巨体を素手で絞め殺したのです。
倒した獅子の皮は同じく獅子の鋭い爪を用いて剥がしました。ヘラクレスはその毛皮を自らの鎧として身にまといました。この獅子は後に星座となり、しし座として夜空に輝くこととなりました。
第2の功業:レルネーのヒュドラーを討つ
次なる試練は、レルネーの沼に住む恐ろしい水蛇、ヒュドラーの退治でした。この怪物は九つの頭(百とも)を持ち、その血も息も猛毒で触れただけで命を奪う力を持っていました。
ヘラクレスは毒を防ぐために口と鼻を布で覆い、戦いに臨みます。ところが、頭を切っても切っても、切り口からは二つの頭が再び生えてきてしまいます。
事態を打開するため、彼の甥イオラーオスが助太刀に入り、切った首の傷口を松明で焼いてふさぐことで、再生を阻止しました。やがて最後に残った不死の頭は、岩の下に封じられました。
この戦いのさなか、女神ヘラは巨大な化け蟹を送り込んでヘラクレスを妨害しようとしますが、彼はそれをあっさり踏み潰してしまいます。この化け蟹は後にかに座となり、ヒュドラーはうみへび座となって空に上げられました。
ただし、この功業はイオラーオスの助けを借りたことを理由に無効とされ、別の課題が追加されることとなりました。ヘラクレスはヒュドラーの猛毒を利用し、矢に塗って以後の戦いに用いるようになります。
第3の功業:ケリュネイアの鹿を捕らえる
次の試練は、女神アルテミスの聖獣であるケリュネイアの牝鹿を生け捕りにするというものでした。この鹿は黄金の角と青銅のひづめを持ち、非常に素早く、女神アルテミスでさえ捕まえることができなかったと言われています。
女神の聖なる動物を傷つけるわけにはいきません。そこでヘラクレスは、一年間という長い年月をかけて、この鹿を根気強く追い続け、ついに疲れ果てた鹿を生け捕ることに成功しました。
捕らえられた鹿は後に再びアルテミスに献じられ、他の鹿と共に彼女の戦車をひくことになりました。
第4の功業:エリュマントスの猪を捕える
次の試練は、エリュマントス山に棲む人食いの大猪を生け捕ることでした。この獰猛な猪は山を荒らし、村々を襲っていたのです。ヘラクレスは雪深い山へと分け入り、大猪を追い詰めて罠にかけ、無傷のまま捕えることに成功しました。
しかしこの過程で、ケンタウロスの長ポロスに招かれて立ち寄ったヘラクレスは、誤ってケンタウロス族の共有の酒を開けてしまい、騒ぎが起こります。
集まってきたケンタウロスたちと戦う中、毒矢が誤って師匠である賢者ケイローンに命中してしまいます。不死のケイローンは毒の苦しみに耐えきれず、不死性を放棄して死を選びました。
この時、プロメテウスがカウカーソス山に縛られていたこともあって、ヘラクレスは彼を解放し、ケイローンの魂の安らぎを得ました。ゼウスはケイローンを悼み、いて座として天に上げたと伝えられています。
第5の功業:アウゲイアースの家畜小屋を掃除する
エーリスの王アウゲイアースは3,000頭もの牛を飼っており、その牛小屋は30年間一度も掃除されていませんでした。ヘラクレスはこれを1日で掃除するという難題に挑み、「達成したならば牛の10分の1をもらう」と王と約束します。
彼はアルペイオス川とペネイオス川の流れを変え、小屋の中に流し込むことで、一気に何十年分もの汚れを洗い流しました。しかしこの急激な水の流れが川の生態系を狂わせ、以後洪水の原因にもなったと伝えられています。
さらにアウゲイアースは約束を反故にし、報酬を渡さなかったうえ、エウリュステウス王も「他人の力を使った」「報酬を求めた」として、この功業を無効にしてしまいます。こうしてヘラクレスにはまた一つ、新たな試練が課せられることとなったのです。
第6の功業:ステュムパロスの怪鳥を追い払う
次なる試練は、アルカディア地方のステュムパロス湖に群れをなしていた怪鳥たちの討伐でした。これらの鳥は、鋼鉄の羽を持ち、それを飛ばして人々を襲うという恐ろしい存在でした。またその数も膨大で、湖の周囲の土地を荒らし尽くしていました。
ヘラクレスはこの怪鳥たちを打ち払うため、アテナ神が授けてくれた青銅製のガラガラを使いました。この音が大きく鳴り響くと、鳥たちは驚いて空へと舞い上がり、ヘラクレスはそこを狙って弓矢で撃ち落としていきました。
怪鳥たちはやがて逃げ去り、湖周辺の人々はようやく平和を取り戻すことができたのです。
第7の功業:クレータ島の雄牛を捕らえる
次なる試練は、クレータ島にて暴れまわっていた巨大な白い雄牛を生け捕ることでした。この牛は、かつてミノス王が海神ポセイドーンに捧げるはずだったものの、美しさに心を奪われて手元に残したため、怒った神が狂わせたという曰く付きの獣です。
ヘラクレスはクレータ島へ渡り、この雄牛を素手で押さえ込み、生け捕りにしました。そして陸路で本土に連れて帰り、エウリュステウス王のもとへ届けました。
王はこの牛をアルゴスに放ちましたが、雄牛はその後も各地を荒らし、最終的にはテーセウスによって討たれることとなります。
第8の功業:ディオメーデースの人喰い馬を取り押さえる
次なる試練は、トラーキアの王ディオメーデースが飼っていた人喰い馬の退治です。この馬たちは生きた人間の肉を食らうように育てられており、恐怖の象徴として国中に知られていました。
ヘラクレスは部下とともに王のもとへ乗り込み、まずは馬をつないでいた鎖を断ち切ります。追ってきたディオメーデース王との戦いでは、彼を打ち倒し、その亡骸を馬たちに食わせました。
これにより馬たちは次第におとなしくなり、ヘラクレスは無事に捕らえて本土へと連れ帰ったのです。その後、これらの馬は神に捧げられたとも、野に放たれたとも言われています。
第9の功業:ヒッポリュテーの帯を持ち帰る
第9の試練は、アマゾーン族の女王ヒッポリュテーが持つ魔法の帯を持ち帰ることでした。この帯は、戦女神アレースから授けられたもので、女王の力と地位の象徴でした。
ヘラクレスがヒッポリュテーのもとを訪れると、女王は彼の名声を知っており、帯を譲ることに同意しました。ところがこの時、ヘラが変装してアマゾーンたちに「ヘラクレスは女王を誘拐するつもりだ」と嘘を吹き込み、混乱が生じます。
アマゾーンたちは武器を取り、争いが始まってしまいました。仕方なくヘラクレスは戦うこととなり、ヒッポリュテーを討ち取り、帯を奪って逃げるように撤退しました。こうして彼は帯を王女アドメーテーに届け、試練を果たしたのです。
第10の功業:ゲーリュオーンの牛を連れて帰る
第10の試練は、はるか西の果て、エリュテイア島に住む三つの体を持つ怪物ゲーリュオーンの牛を連れて帰るというものでした。この牛たちは、オルトロスという双頭の番犬とエウリュティオーンという牧人によって守られていました。
長い旅の末に島に到着したヘラクレスは、まずオルトロスを打ち倒し、続けて牧人も倒しました。
そして最後に、ゲーリュオーン自身との戦いに臨み、毒矢で討ち果たしました。こうして牛たちを奪い、旅の途中でも様々な困難に見舞われながらも、無事にギリシャまで連れ帰ることに成功します。
第11の功業:ヘスペリデスの黄金の林檎を手に入れる
エウリュステウス王が課した11番目の試練は、世界の西の果てにあるという「ヘスペリデスの園」から、黄金の林檎を持ち帰ることでした。
この林檎は、かつて大地の女神ガイアがゼウスとヘラの結婚を祝って贈ったもので、不老不死の力を宿す神聖な果実とされていました。それを守るのはヘスペリデスという美しい乙女たち、そして恐るべき百頭の龍ラードーンでした。
この林檎の在処すら知らなかったヘラクレスは、世界を旅しながら情報を集めます。旅の途中では、かつて解放したプロメテウスと再会し、林檎のありかと、ある妙案を授かります。
ヘラクレスはやがて、大地の果てに立つ大男アトラスのもとを訪ねます。アトラースは天をその肩で支えるという重責を課されていましたが、彼は林檎のある場所を知っていました。そこでヘラクレスは「その間、私が天を支えましょう」と申し出て、アトラスに林檎の採取を頼みました。
アトラスは龍を欺いて林檎を手に入れ、戻ってきましたが、そのまま天を支える役目を押しつけようとします。しかしヘラクレスは「では少しの間だけ交代してくれ、肩当てを整えたい」と言ってアトラースに天を戻させ、その隙に林檎を持って立ち去ったのでした。
このようにして、ヘラクレスは誰もたどり着けなかった地の果てより、神々の果実を持ち帰ったのです。
第12の功業:冥界の番犬ケルベロスを連れ出す
最後の、そして最も恐ろしい試練。それは死者の国「冥界」へ赴き、オルトロスの兄である入り口を守る地獄の番犬ケルベロスを生きたまま連れて来るというものでした。
ケルベロスは三つの頭を持ち、蛇の尾を持ち、地獄の出入りを見張る神聖な存在でした。ヘラクレスはまず、エレウシスにて冥界への正式な入場儀礼を受け、死者の道へと旅立ちます。
冥界にて、彼は冥王ハデスとその妃ペルセポネに謁見し、ケルベロスを連れ出す許しを乞いました。ハデスは、「その猛犬を武器を使わずに生け捕るならば許可しよう」と条件を出しました。
ヘラクレスは素手でケルベロスに挑みます。暴れ狂うケルベロスに何度も噛みつかれながらも、ヘラクレスはその首を押さえつけ、ついにはその猛獣を制圧して鎖でつなぎ、冥界の地上口から引きずり出しました。
地上の人々はこの光景に恐れおののき、エウリュステウス王は見るなり驚きのあまり甕の中に飛び込んで震えたと伝えられています。試練を終えたのち、ヘラクレスはケルベロスを冥界へと無事に送り返しました。
■ヘラクレスの最期
十二の功業を終えたのちも、ヘラクレスは各地で数々の冒険を繰り広げました。しかし、彼の運命は最後まで平穏ではありませんでした。
後年、ヘラクレスはディアネイラという女性と再婚します。ある時、彼女はケンタウロスのネッソスに襲われかけ、それをヘラクレスが射殺して助けました。死に際にネッソスはディアネイラに「自分の血は夫の愛を取り戻す薬になる」と偽って伝えます。
ディアネイラはいつしか夫の心が自分から離れていくのではないかと疑念を抱き、そのネッソスの血を染み込ませた衣をヘラクレスに着せてしまいます。
ところが、それは毒にまみれた死の衣でした。ヘラクレスの体は焼けるような激痛に包まれ、脱ごうにも衣は肉に張りつき、骨にまで焼きついていました。耐えがたい苦しみに彼は、オイタイ山の山頂に薪を積ませ、その薪に火を放たせ壮絶な最期を迎えます。
その後、神々は彼の功績と苦しみを認め、オリュンポスへと迎え入れました。ヘラクレスは死すべき人間から永遠の神となり、ゼウスの子として神々の仲間入りを果たします。
そして最後には、あれほど彼を苦しめたヘラとも和解し、天上で神々の英雄としての地位を得たのです。
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