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公開日:2017/10/22 , 最終更新日:2023/11/11
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関連知識
・生命の起源
・日本人のルーツ
■人類のルーツはアフリカ
「人類の祖先はサルである」と言われる事がありますが、「人類は、チンパンジーやボノボと共通の祖先をもっていた」という言い方が正しく、
チンパンジーやボノボとは約700万年前に分岐しております。
人類のルーツ、つまりチンパンジーやボノボと分岐した場所はアフリカにあります。アフリカのどこかは諸説あり、東アフリカのケニア、タンザニア辺りにあったという説と南アフリカにあったという説があります。
人類が二足歩行をしたのは、大地溝帯によって陸が隔てられ東側が雨季と乾季に分かれサバンナ化したことによって、東側にいた人類の祖先がサバンナを生き抜くために(より遠くを見渡せる様に)二足歩行になったと考えられていましたが、
現在では、森林地帯にも人類の祖先が生息していたという化石が発見されたので、二足歩行になったのはサバンナ要因説は否定されつつあります。
更に人類の進化の一つである体毛の喪失という点もサバンナ要因とは考えにくいです(酷暑/寒冷地域では体毛があった方が体温維持に有利)。従って二足歩行と体毛の喪失は水辺に移って進化したという説もあります。
また、北アフリカのモロッコで約30万年前と考えられる最古のホモサピエンスと考えられる化石が見つかっており、どのように人類が生まれたのかまだ定まった答えが見つかっていない状態です。
そういった状況を経て約20~30万年前にアフリカで現生人類(ホモ・サピエンス)、つまり今の人類が誕生し、約7万年前にアフリカを出て、
日本に到達したのは約4万年前と言われています。この、人類がアフリカを起源として世界中に広まった説をアフリカ起源説といい、
DNAの分析結果からも確定的な説となっております。一方で、各地域の原人が進化して成立したという説を多地域進化説といい、
アフリカ起源説が出てくる前では主流の考えでした。アフリカから日本に来るまでの大まかな流れを以下に示します。
■旧人が進化して現生人類になったわけではない
ネアンデルタール人などの旧人が進化して現生人類になったわけでなありません。上記年表にも示すとおり、原人が約100万年前に先ずアフリカを出てその後旧人に進化します。
その後アフリカで誕生した現生人類が、後発となって約7万年前にアフリカを出ていきます。旧人は最終的に絶滅してしまうのですが、現生人類はその地域に住んでいる旧人と
どのような接触をしたかというと、現生人類の一方的な駆逐ではなく自然的な淘汰であったという説があります。それは現生人類と旧人の共通のDNAが僅かながらにあるからです。
しかし旧人と現生人類は祖先が同じためため、共通のDNAがあってもおかしくない、つまり旧人と交わった訳ではないという説もあります。
我々人類の性格を考えたら、他人とのわずかな違いでも排除するような凶暴な一面を持っているため、旧人の様に違う種を受け入れる事ができたかは甚だ疑問です。
以下はヒト科の分類になります。ネアンデルタール人はホモサピエンスとは違う種に分類されていますが、もしホモサピエンスと交配できていたならサピエンス種に入るという主張もあります。
■なぜホモサピエンスが生き残ったのか
人類は以下の流れで進化を行い、高度な知能と社会性とコミュニケーション能力を身に付けることによって、生物界の頂点に立つことができました。
しかし何故それがネアンデルタール人ではなく、ホモサピエンスだったのでしょうか。サピエンス全史によると、ホモサピエンスだけが認知革命を起こし、虚構を語れるようになったからだと言われていますが、
認知革命を起こしたのがホモサピエンスだけだった理由は、進化の偶然によってネアンデルタール人よりも言葉を扱うのが得意だった(言葉を扱いやすい口腔と咽頭の変化が偶然生じた)からだと思われます。
■ チンパンジーとボノボ
チンパンジーとボノボの共通の祖先は、100-200万年前の乾季のコンゴ川が細く浅い時期にコンゴ川を渡って南部に移動しました。その後乾季が終わりコンゴ川が再び大きくなった時に、コンゴ川北部と南部が分断されて
南部側に残ったのがボノボ、北部側に残ったのがチンパンジーとなりました。ボノボは性格が穏やかで争いがなく、メスの力が強い社会で、一方チンパンジーは獰猛でチンパンジー同士の殺し合いもあり、またオスの力が強い社会ですが、それは分岐してからの環境が影響しているといわれております。
南部側は森林地帯が多くて食料の競合相手のゴリラなどもいなく、食料が豊富だったために争いが少なかった、一方北部はサバンナが広がり食料争いが激しかったことが性格の違いの要因の一つとなりました。
またボノボ川は食料が豊富であったために、安定した生活を送ることができたため雌の発情期が長く、性行動をたくさん行うことができたことが更にオス同士の争いを減らす要因となり
チンパンジーは雌の発情期が短いので、交尾の機会を確実に得るために激しい争いを繰り返してきたために獰猛な性格になったと考えられています。
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