【感想】ニック・チェイター 著『心はこうして創られる』



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公開日:2024/6/1    

■本の情報 
<作者> ニック・チェイター
<訳者> 高橋 達二・長谷川 珈
<原題> The Mind is Flat
<発行日> 2022年7月 (講談社)

■感想 

心には深みや深層心理などなく、薄っぺらな表面が心の全てであると著者は主張する。数多くの実験結果を紹介しており、その一つ一つは納得するものであったが、 そこから導き出される結論(解釈)について疑問が残った。結局は深層心理があると考える人の脳のモデルと、著者が考える脳のモデルは同一で、脳のモデルに対する解釈が違うだけではないかと思いました。

つまり脳のモデルは以下の様になっていて、脳はある入力に対してある出力を返す関数に過ぎないと考えると、脳の奥底に潜む根本原理などなく著者の様に「フラット」であると考える人もいれば、 その関数を決して再現できない途方もない複雑さに注目して「心の深み」「深層心理」と考える人もいる。それだけの違いであるという事です。



ただ「脳はフラットである」という著者の提示した根拠に対して、以下の様な批判点が考えられる。

① ニューロンは確かに一度に一つの反応を示すことが出来ないが、通常の意識下で反応するニューロン系から完全に独立したニューロン系が無いとは限らない。 もしそのようなニューロンが存在したら、それは無意識と言ってもいいのではないか。

② 錯視、錯覚、意思の捏造、行動の矛盾など、人間の不合理な側面を挙げることによって心に深みが無いことの証明を試みているが、 それは単に脳に入力される情報の不完全さを表しているに過ぎず、脳への入力情報に無限のパターンが存在するために、一見矛盾した行動や意志が表れているかのように見えているだけである。 しかし上記の関数の形自体は、その人によって固有のものが存在する筈である。それを内在する自我、深層心理などと表現しても良いのではないか。 もちろん関数の形(心)は、その人の知識や経験、更には遺伝子によって形づけられる筈である。




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