ATPとは アデノシン三リン酸



生物学/栄養学

初回更新日:2020/6/9    

ATP(adenosine tri-phosphate)とはアデノシン三リン酸の略で、体内の細胞内で生成される物質です。生命が活動するために必要なエネルギー源を貯蔵/運搬/供給するので「生命のエネルギー通過」とも呼ばれます。 ATPは以下の様にアデノシンにリン酸が3つ結合されており、これがエネルギーが蓄えられている状態となります。体を動かすためにエネルギーを使用する場合、ATPは三リン酸の一つの結合(高エネルギーリン酸結合)を解きエネルギーを放出(異化)します。 この時ATPはADP(adenosine di-phosphate:アデノシン二リン酸)という物質に変わります。また逆に、食物から得たエネルギーで再びADPからATPに変換(同化)されます。

  

■ATPの生成の仕方
エネルギーの基となるATPの生成には、食物から摂取したブドウ糖(グルコース:C6H12O6)や脂肪に加え、酸素を必要とします。酸素を取り入れ副産物として生成された二酸化炭素を排出する行為が呼吸です。 先ずはグルコースからATPを生成する工程を説明します。

<嫌気性解糖(解糖系)>
グルコースは細胞質気質でピルビン酸と、H+に分解され、その際にATPが生成されます。 この時は酸素を必要としないので① 嫌気性解糖(解糖系)といいます。解糖系はATPの生成効率が悪く、グルコース1分子からATPが2分子しか生成されません。

<好気性代謝>
解糖系で生成されたピルビン酸はミトコンドリア内部(マトリクス)に送られ、化学反応を経てアセチルCoAという化合物になります。その後アセチルCoAは② クエン酸回路に入れられ、2つのATPと20個のH+が生成されます。 解糖系とクエン酸回路で生成されたH+は、ミトコンドリアの内膜に送られ、そこで③ 電子伝達系という反応で34個のATPが生成されます。その際に酸素とH+が結合して水が生成されます。 酸素を取り入れ、二酸化炭素を生成する呼吸は、このような過程で使用、生成されます。

  

<脂肪酸がエネルギーとなる場合>
脂肪酸は直接アセチルCoAとなり、クエン酸回路に入り電子伝達系が行われる好気性代謝となります。 脂肪酸がエネルギーとなる場合はATPが129個作られグルコースに比べて非常に高エネルギーです。

<無酸素運動と有酸素運動>
体を動かす基になるATPを生成するには基本的には酸素を取り入れる必要がありますが、筋トレや短距離走などの無酸素運動は酸素を必要としなく、グルコースばかりを消費する解糖系のサイクルでATPを生成します。 生成するATP量は上述したとおり少なく、ピルビン酸が消費されない代わりに乳酸がうまれます。 乳酸は一昔前は疲労物質と考えられていましたが、そうではなく、乳酸は肝臓に送られグリコーゲンに変換され、エネルギー源として再利用されることが解っております。

食後の血糖値が上がる前に無酸素運動をすると、グルコースを効率よく消費でき血糖値の上昇を抑える事ができます。 一方有酸素運動は脂肪を消費するので、どちらも異なる効果でのダイエット効果があります。

両者の運動を組み合わせる事で効率よく痩せる事ができますが、有酸素運動と無酸素運動どちらかを選べというと、私は無酸素運動を選びます。 食後の筋トレは、かける時間に対する効果が大きいですし、筋肉がつくと基礎代謝が増え、長い視点で見た時にも無酸素運動の方が良いと思います。 有酸素運動は脂肪ばかりではなく、筋肉からも少しずつエネルギーを持ち出してしまい、筋肉も落ちてしまいます。




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