光合成の原理



生物学/栄養学

初回更新日:2021/4/24    

■光合成の原理
植物の葉緑体で行われる光合成は以下のような仕組みで行われます。葉緑体の中にはチラコイドとストロマという部分があり、チラコイドで光を受けてH2OをH+とO2に分解します。 H+はストロマに渡り、カルビン・ベンソン回路の中でCO2を使い、グルコース(ブドウ糖)と水を生成します。グルコースは生きていくために必要なエネルギーを自らで生成できるところが、動物とは異なるところです。



最終的な化学反応式は以下のとおり、実際にはもっと複雑な反応式になっているのですが、入力と出力の関係はシンプルな形になっています。



なお光合成と逆の反応である、グルコースとO2を使ってCO2を排出する呼吸の原理はこちらで説明しております。

<もやしはなぜ太陽を必要としないのか>
もやしは主に大豆などの豆類を遮光した場所で発芽させたものです。太陽光は本来植物のエネルギーを作り出すために必要なものですが、もやしは太陽光を必要としません。 にもかかわらず、もやしが成長する理由は、種にあるエネルギーを使用するからです。では、もやしの種にどうやってエネルギーを蓄えることができるのでしょうか。 それは先述したように、もやしは大豆から作るので、もやしからは"もやしの種"はうまれません。大豆は太陽のもとで育てるので、エネルギーを蓄えることができます。

<ブレサリアンの人が食べなくても生きていける理由>
世の中にはブレサリアンという食べ物は接種せず呼吸と太陽光だけで生きる人がいます。通常ならば物を食べなかったら餓死してしまうはずですが、なぜ生きていけるのでしょうか。 詳細な理由は分かっておりませんが、光合成のような原理(水とCO2からブドウ糖を生成)でエネルギーを生成している、あるいは特別な腸内細菌を持っているのではないかと考えられています。

■人口光合成の原理
2021年4月22日にトヨタグループが発表した人口光合成の原理は以下のとおりです。もともと2011年時点で発表していたのですが、今回変換効率を高めることができた(0.04→7.2%)ということです。 H2OにCO2が溶けた溶液を使用し(成分はこれだけではないと思われます)、太陽光発電によって得られた電力をH2Oの電気分解に使用し、CO2とH+を結合させてギ酸を作るというものです。



太陽光発電を使うというところがいかにも光合成という感じがしますが、原理的には電力は太陽光発電ではなくても良いと思われます。また植物の光合成は、大気中のCO2を利用することができますが、 これはCO2を溶かした溶液を作る必要があります。更に植物はグルコースを生成するのに対して、こちらはギ酸というところも異なります。




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