遺伝の仕組み



生物学/栄養学

公開日:2021/3/5      

■Y染色体DNA
人間の細胞の核の中にある染色体は23組46個ありますが、この染色体は父親と母親それぞれから引き継いで一組の染色体となります。 そして染色体の一つである性染色体が男女の性別を決めております。Y染色体があると男となりXYの組み合わせとなり、XXの組み合わせでは女となります。 ここで重要な性質はY染色体は男から男にずっと引き継がれていくという事で、Y染色体のDNAを調べれば父親の祖先が解ります。 (X染色体は入れ替わりが起こるため祖先を追うことはできないです)

 

なお日本の天皇は男系の継承がずっと行われてきました。これは父親の血統を継ぐという意味で行われてきたのですが、DNAの観点からもこれは正当性のある行為だったのです。 しかし、DNAの事など解っていない古代から男系継承が行われてきたのは、本能的なものだったのか別の理由があったのか、不思議なことです。

■ミトコンドリアDNA(mtDNA,mDNA)
mtDNAは細胞の中にあるミトコンドリアが持っているDNAです。もともとミトコンドリアは別生物でしたので核DNAとは別のDNAを持っており、環状2重らせん構造となっています。 Y染色体DNAは父親のものを引き継ぐのに対して、mtDNAは母親のものを引き継ぎます。従ってmtDNAからは母親の祖先を追う事が出来ます。

 

■働きバチはなぜ自分で子孫を残さないのか
ミツバチの働きバチは自分で子孫を残すことなく、女王バチの世話をして一生を終えます。生物の本能である自分の子孫を残す、という事に反するのかと思いますが、女王バチが子孫を残すことで 結果的に自分の子孫を残すことができるので、働きバチは働きバチとしての役割に徹します。

遺伝子の継承の流れを見てみます。ミツバチの雄は未受精卵からしか生まれないので遺伝子が1セットしか有りません。女王バチから産まれた働きバチは全て雌となりますが、働きバチにとって 「次の女王」とは遺伝子を少なくても半分は共通としており、場合によっては100%共通としています。従って「次の女王バチ」の子孫は少なくても半分の確率で自分の遺伝子が残ることになります。 それならば、働きバチが全員女王バチになって子孫を残していくよりも、働きバチが働きバチに徹することで、巣全体を外敵から守り女王バチを危険にさらさない方が、結果的に自分の子孫を多く残すことができるという事になります。

 




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