心拍数と寿命の関係 脈が早い人は短命なのか



生物学/栄養学

公開日:2023/3/9   

■哺乳類の心拍数と寿命の関係

Levineによると、哺乳類の心拍数と寿命の関係は以下となっており、脈拍が早い程寿命が短く、脈拍が遅い程寿命が長いという関係になっております。 ただし人間は他の哺乳類とは異なり、人間よりも脈拍が遅い動物よりも寿命が長いです。これは医療や栄養学の発達による影響と考えられます。

以下の結果から、人間を除く哺乳類の生涯の心拍数は概ね一定の範囲に収まると言われており約7±5億回、人間の生涯の心拍数は約28億回(平均脈拍:70回/分, 寿命78年の場合)となっております。



<人間の平均的な脈拍>
以下の様に、年を重ねるごとに脈拍は遅くなっていきます。


■人間も脈拍が早ければ短命なのか

脈拍が早い人は、そうではない人に比べて心臓病による死亡リスクが高いと言われています。 それは心臓を酷使する状態に晒されているということや、あるいは脈拍が早いことが短命の直接の原因ではなく、脈拍が早くなるような疾患や生活習慣病を抱えている可能性が考えられます。

ショートスリーパーの人も心臓病リスクが高いと言われていますが、それは脈拍の早さに関係しているのではないかと思います。 後述しますが、睡眠中は副交感神経が作用して脈拍数が少なくなります。つまり睡眠しなければその分脈拍数が増えるので、心臓病のリスクが上がるという訳です。

どちらかというと、心臓の脈拍数に上限があると考えるのではなく、心臓を一回動かすごとに、何かしらの病気にかかる確率が高まっていっていると考えた方が良いのかもしれません。

<スポーツ選手は短命なのか>
では心拍数が多いスポーツ選手が短命なのかといったら、一概にはそう言えません。 その理由は二つあると私は考えており、一つは、スポーツ選手は心肺能力が鍛えられ普段の脈拍が遅くなるため、運動時の脈拍の早さと普段の脈拍の遅さが相殺され、 生涯の脈拍数としては一般の人に比べて多くなる訳ではないから。もう一つは、運動することによって肥満などの生活習慣病を抑えられ、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを減らすことができるから、と考えます。

従って普段運動しない人が激しい運動を急にし始めると、心臓に負担を与えるので危険です。 また健康に良いとされるランニングも、膝や関節を痛めて結局長続きせず、更に年を取ってから満足に運動できない体になってしまうので、慣れていない人がやるのはお勧めしません。

寿命を延ばし、体を健康に保ちたいなら、心拍数もそこまで上がらず肥満予防に効果のあるウォーキングを長く長く続けるが良いと思います。

■脈拍が早くなる要因

脈拍が常に100回/分を超える人は頻脈と呼ばれ、更に120回/分を超える人は何かしらの心疾患を患っている可能性があります。 また心疾患を患っていなくても、交感神経が副交感神経より優位に働くと脈拍が早くなります。交感神経が活性化する要因は以下が挙げられます。

・緊張や興奮、ストレスを感じているとき
・運動時
・食後時
・入浴時
・お酒を飲んだとき
・カフェインを摂取したとき
・寝起き直後
・風邪や怪我で体が炎症を起こしているとき


一方で副交感神経を高める方法は、一言で言うと「リラックスすること」ですが、具体的には以下が挙げられます。

・睡眠をとる, 睡眠の質を高める (寝る前にスマホを見ない, 体に合う枕を使用する等)
・リラックス作用のある匂い(アロマ)を嗅ぐ
・リラックス作用のある音楽を聴く
・ストレッチ運動する(寝る前が効果的)
・深呼吸する(吸う時間を短く、吐く時間を長く)
・副交感神経に作用するツボを押す

■先ずは自分の脈拍数をきちんと把握しよう

自分の脈拍を知ることは、心臓の疾患に気づく手がかりにもなりますし、 頻脈とは言わないまでも普段の脈拍が心拍数が高いので心配だという人にとっても、実態を把握する重要な情報になります。 ただし何度も腕に指をあてて測定する方法は大変なので、脈拍計測機能があるスマートウォッチを使用するのがとても便利です。




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