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■RNAとは
RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸といい、DNAの情報を用いてタンパク質を生成するときに用いられます。生命の起源がRNAとも考えられています。
RNAの構造はDNAと似ていますが、DNAの糖はデオキシリボースに対してRNAはリボース、またRNAは一重らせんとなります。更に塩基にウラシルを持つという所も異なります。
以下の様にDNAの情報をRNAが転写(コピー)し、次に転写した情報を用い細胞内のリボソームでタンパク質を作ります。このようなプロセスをセントラルドグマといいます。ドグマ(教義)とは宗教において真理と認めている教えや体系化したもので、
どんな生物においてもこの過程を経てタンパク質を作るため、教義に見立ててセントラルドグマ(中心教義)といいます。

■転写
転写の詳細なメカニズムは以下となります。まずDNAは二重らせんの結合を切ります。そこにRNAが結合してDNAの情報を転写します。転写したのちはRNAとDNAが離れ、
一度切れたDNAのもう片方と再び結合して二重らせん構造に戻ります。RNAには複数の種類があるのですが、この転写する時に使うRNAのことをmRNAといいます。(mはメッセンジャーのm)

■翻訳
翻訳のメカニズムは以下となります。リボソームという場所で、DNAの情報を転写したmRNAの塩基のうち、3つの塩基が1セットとなって一つのアミノ酸を作成します。
ペプチド結合によって繋がったアミノ酸はタンパク質となります。

■mRNAワクチンとは
コロナウイルスに対してmRNAワクチンを用いるという話を聞いたことがあるかと思いますが、mRNAワクチンとはどういう物か簡単に説明します。
上記で説明した様にmRNAというのは遺伝子の情報を転写する性質を持ちます。そこでコロナウィルスの遺伝子情報をmRNAに転写して、そのmRNAを人体に注入します。
mRNAは体内でリボソームに入り、そこでコロナウイルスの持つスパイクタンパク質を生成します。体内ではそのスパイクタンパク質に対して抗体をもつことで、コロナウイルス自体に対する抗体を持つことができるという原理です。
ここで心配になるのは、コロナウイルスの遺伝子情報を持つmRNAが体内にずっと残り、ずっとスパイクタンパク質を作り続けるのではないかと思うかもしれませんが、mRNAはもともと非常に壊れやすい性質のため、そういうことにはなりません。
またRNAという言葉だけで、何か人間のDNAを変位させるのではないかとという認識を持っている人がおりますが、これは間違いです。
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