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■リベットの実験とは
リベットの実験とは、アメリカの生理学者 ベンジャミン・リベット(1916-2007) が1980年代に行った実験で、自由意志と脳の活動の関係を調べた有名な心理学・神経科学実験です。実験の内容は以下のとおり。
・被験者に「いつでも好きなタイミングで手首を動かしてよい」と指示。
・被験者は、目の前の時計の針がどこを指していたかを覚えておき、「自分が手を動かそうと思った瞬間」を報告する。
・同時に、脳波で被験者の脳の活動を計測する。
<実験結果>
「自分が手を動かそうと思った瞬間」の0.35秒前には脳に電位変化が現れ、「手を動かそうと思った瞬間」の0.2秒後に手が動いた。

<考察>
これまでは「自由意志 → 脳の活動 → 手の動き」という順序で理解されていた。しかしリベットの実験では、実際には「脳の活動 → 自由意志の意識 → 手の動き」となっていることが示された。
つまり、自分の意思を自覚するより前に脳が行動の準備を始めているのである。この結果から、「自由意志は本当に存在するのか」という議論が生まれるようになった。
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