収斂(しゅうれん)進化, 形態形成場の仮説, シンクロニシティの違い



生物学/栄養学

初回更新日:2020/9/11    

■収斂進化とは

収斂進化とは、異なる分類の生物が同じ様な環境にさらされた場合、異なる地域であっても同様の形質(外観、形状)を獲得する現象である。 例えば、シャチとサメ、モグラとオケラ、ウツボカズラとサラセニアなどが挙げられる。

<言語の収斂進化>
言語においても、全くルーツが異なる言語にもかかわらず、似たような意味や発音を持つ単語があるなど、収斂進化のような現象が見られます。

・英語の「mother」中国語の「媽媽」など、母親を表す単語に「m」の発音が含まれる。これは赤ちゃんが最初に言える言葉が「m」だからです。 ちなみに日本語は赤ちゃん言葉で「マンマ」はご飯という意味ですが、「母親」ではなく「ご飯」という意味をあてたのは面白いです。

・英語の「cut」と、日本語の「切る」は「k」の発音が含まれる。切る時のイメージが「k」だと人間はイメージするようです。


以下は、言語の収斂進化に近いかと思うかもしれませんが、単純に人づてに情報が伝播した場合もあります。

・異なる地域に似たような神話や言語が存在する。
なお世界中にある洪水伝説は、氷河期が終了した際の海面上昇を全世界の人が同じく体験しただけ、という説もあります。

■形態形成場の仮説 (シェルドレイク仮説)とは

形態形成場の仮説とは、イギリスの生物学者/超心理学者であるルパート・シェルドレイクが唱えた仮説で、人や物に起きたことや考えが、全く接触の無い人や物に距離を超えて伝播する現象をいう。 形成共鳴ともいう。例は以下のとおり。

・テレビ番組でクイズを2問出し、片方は回答を視聴者に教え、片方は回答を教えない。その後、その番組が放映されていない(答えを知らない)地域に同じ問題を出した場合、答えを教えられた問題の方が正答率が上がった。

・グリセリンは固体化しない物質と考えられていたが、一度ある拍子で固体化した後、あらゆる地域で固体化するようになった。

・宮崎県串間市の幸島にいるサルが芋を洗いだしたら、他の地域でも芋を洗うサルが増えだした。
※しかしそのような事実は確認されておらず、生物学者ライアル・ワトソンが創作した架空の現象「百匹目の猿現象」とされる。 (幸島のサルは芋を洗うのは事実)

・同時期に違う場所で同じ物理法則を発見したり、同じようなアイディアが生まれる。(万有引力はニュートンとフックが同時期に法則を発見した)

この様な現象が起きる理由は、記憶や経験は種ごとにサーバーのような場所に保管しているからで、脳は単なる送受信機である。とのこと。 この理論は疑似科学であるという意見が強く、一般には認められている説ではありません。私としては非常に興味深い仮説だと思いましたが、形態形成は収斂進化の一種なのでは?と思いました。

■シンクロニシティとは

シンクロニシティとは、スイスの心理学カール・グスタフ・ユング(1875-1961)が提唱した理論で、 一見すると無関係な複数の事象が同時に起きる現象のことです。これは「集合的無意識」といい、個人的に獲得されたものではなく、主に遺伝によって獲得された情報のことで、 表面上の因果関係はないようにみえても、無意識の層においては因果関係が存在するためシンクロニシティが起きると、ユングは主張します。

シェルドレイク仮説と現象は似ていますが、主張する原理が異なります。

・長い間連絡を取っていなかった人を思い出した時に、その人から連絡が来る

・世界中で収監されていた最凶の死刑囚が、同時期に脱獄し東京に集まってくる




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