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■本の情報
<作者> 島田荘司
<発行日> 2005年11月 (光文社)
■感想 一部ネタバレを含みます。
私が興味を持ったのは、裏で世界を支配している巨大な財閥が、一族を繁栄させるため、臓器交換用として自分達のクローン人間を育てているファームがあるという設定。
作中でもこの設定は主人公を欺くための虚偽だったのですが、この設定が実世界でもあるんじゃないかと思わせてしまうようなオカルト的な要素は私は好きです。
作中の巨大な財閥はロスブラッツ家といい、ユダヤの一族であるということ。一族を守るため、同族間での交配が進み種としては弱い人間になってしまった結果、臓器交換用のクローン人間が必要になってしまったこと。
それを実現できる財力があること。現実要素を織り交ぜ、突飛な設定を入れながらも一瞬それもありそうだなと思わせてしまいますよね。
作品としては、これだけ壮大な設定にもかかわらず、物語の収束が早かったので、中編ではなく長編小説にすればもっと読みごたえのあった作品になったのではないかと思います。
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