伊坂幸太郎著『クジラアタマの王様』の感想



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

文学:90

公開日:2020/11/23    

■本の情報 
<作者> 伊坂幸太郎
<発行日> 2019年7月 (NHK出版)

■感想 ネタバレを含みます。
<クジラアタマの王様とは>
ハシビロコウとは、「くちばしの広いコウノトリ」という意味で、英名のShoebillは「靴の様なくちばし」という意味。 学名はラテン語で「クジラアタマの王様」という意味。題名は本書内の夢の中に出てくるハシビロコウを指している。 日本でハシビロコウがいる動物園は2020年では7箇所で、都内では上野動物園しかないので、ラストシーンで訪れる動物園は上野動物園と思われる。

夢の中と現実世界は連動しており、夢の中でハシビロコウの指示どおりに怪物を討伐していた主人公たちだが、実はハシビロコウにとっての天敵を討伐していたのではないかと推察し、 最後はハシビロコウがラスボスとして立ちはだかります。夢と現実を対比させると、ハシビロコウはワクチンの開発を妨害する組織(狭義には薬を抹消するために現れた人物)ですが、 ハシビロコウが討伐を指示した怪物(例えばハリネズミ)と、現実世界の敵(おもちゃのクレーマー)はワクチンの開発を妨害する組織とは関係なく、これは何か意味があるのか(あるいは何も意味はないのか)、 疑問に思いました。

<アクションシーン>
あとがきにて、作者はアクションシーンは小説が苦手とするものの一つではないかと言及しており、それを補う様に絵を挿入するという試みをしたのが本書ということである。 私も同感しますが本書で最も私が興奮したシーンは、薬の存在を抹消しに来た敵を倒すため、一度ロケットを模したグッズを投げつけ失敗したが、 その時夢の中の自分が現れ紐で矢を取り戻し、再度敵にめがけ投げつけたシーンです。このシーンを絵で表現していたらより良かったのではないかと思いました。 ただし文章だと自分の中で状況を想像できるという事が良い所でもあるので、この形でも良かったのかなと思いましたが、どうでしょう。

<新型インフルエンザ>
偶然にも本書の発行後まもなくコロナウイルスが流行し、本書中の未知なるウィルスに対する群集心理が実際のコロナウィルス流行時のそれを類似していたため、 著者はコロナウイルスを予言したと囁かれもしましたが(私調べ)、これは当然ですが偶然だと考えます。この群集心理は誰でもある程度容易に想像できます。

<法船寺>
夢を見るきっかけとなったのが金沢にある法船寺への訪れである。栩木社長のお父さんも法船寺を訪れたことが、自伝に書かれている。 法船寺は実在するお寺で、2匹の猫が化け鼠を退治するという話も実際にあるようです。何故法船寺が選ばれたのかは不明です。




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