【まとめ】 リバタリアンが社会実験してみた町の話



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

産業:60

文学:90

公開日:2025/8/15    

■本、著者の情報
<作者>マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング, 訳:上京 恵
<原題>A Libertarian Walks into a Bear- The utopian plot to liberate an american town [and some bears]
<出版社>原書房
<出版年>2022年3月

■あらすじ

アメリカ・ニューハンプシャー州の小さな田舎町グラフトンで、リバタリアンの一団が「フリータウン・プロジェクト」を立ち上げ、理想の自治社会を求めて移住を始めた。 彼らは州政府からの不干渉を掲げ、税収を極力抑えたうえで成り立つ社会の実現を目指したが、その過程で野生のアメリカクロクマとの共生という大きな課題に直面する。 さらに、税収減の影響で消防署は十分な体制を維持できなくなり、火災が発生しても対応が遅れ、住民の暮らしと安全が脅かされた。象徴的な出来事となったのは、教会の火事であった。 やがて町は荒廃の一途をたどっていき、最後にこの地に適応したのは人間ではなく熊だった。

■感想

邦題からは「リバタリアンが住む町が理想的な町となるか」という純粋な社会実験の記録を期待したが、実際には熊に翻弄されるリバタリアンたちの苦労に多くの紙幅が割かれており、やや期待外れであった。 原題を直訳すれば「リバタリアン、熊に遭遇する」となり、こちらのほうが内容に即している。

作中では、グラフトンがリバタリアンの理想の町にならなかったという見方が示されている。しかし、その検証はもっと深く行ってほしかった。 確かに町は荒廃し、一般的な感覚からすれば住みにくい場所になったが、もし彼らが不便を受け入れてでも自由を優先していたのなら、荒れた町でも幸福を感じていた可能性がある。

また、この「フリータウン・プロジェクト」は失敗に終わり、グラフトンからリバタリアンが去ったかのような印象を与えるが、実際にはより大きな活動である「フリーステート・プロジェクト」へと展開したためである。 そう考えれば、リバタリアンの活動は後退ではなく前進とも言える。結局のところ、「フリーステート・プロジェクト」の行方を見届けなければ、リバタリアンの理想社会の成否を判断することはできないだろう。




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