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■本、著者の情報
<作者>高野 結史
<出版社>株式会社 宝島社
<発行月>2025年1月
■あらすじ
前作『奇岩館の殺人』の直接の続編。本来であれば前作で殺される予定だった佐藤は、生き延びて運営側へと潜り込み、ライターとして採用される。
今作では「田中」と名を変え、次なるリアル・マーダー・ミステリー「探偵遊戯」の脚本を手がける立場となっていた。
しかし田中は、本心では「自分のシナリオに従って本当に人が死ぬこと」を望んでいなかった。そこで、なんとか犠牲者を出さずに済む道を模索する。
その過程で、前作と同じ島・同じ施設で連続開催するという条件を逆手に取り、「前作の現場に放置された死体を利用すれば、新たな殺人を起こさせずにゲームを成立させられる」と考え、
さらにそれを足掛かりに島から脱出する計画を密かに立て、実行へと移す。
だが「探偵遊戯」の最中、シナリオには存在しない“イレギュラーな殺人”が二つ発生してしまう。
一つは、予定されていた被害者役が別の人物にすり替わっていた件。これは田中が仕掛けたトリックであり、「本物の殺人を回避するための操作」であった。
しかしもう一つは完全な想定外で、本部から派遣された監査役が殺害されてしまう。実は監査役は二人おり、そのうち一人が密かに殺人を企てていたのである。
犯行は巧妙に隠蔽され、現場の誰も真相にたどり着けない。島を脱出した田中は、外部で行われた「探偵遊戯」の結果を俯瞰し、残された謎を推理によって解き明かす。
真の黒幕は、シナリオの表と裏の両方を知っていて、かつシナリオの作成に影響を与えられる人物、麻生メグだったのである。
田中が島から脱出したことを知った小園間こと袋小路は、その行方を追い、ついに彼の居場所を突き止める。
田中の口から事件の全貌と真相を聞かされた袋小路は、同時に彼からひとつの言伝を託される。
それは、自分が田中を死なせてしまったと罪悪感に苦しむ凛子へ向けた言葉―「あなたは誰も殺していない」という言葉であった。
■感想
本作は前作を読んでいることが前提となっており、前作の知識がないと面白さが半減してしまう作品だと感じました。
しかしながら、表紙や紹介文に続編である旨が明記されていないため、本作から読み始めてしまう読者がいるのではないかと思い、少し気の毒にも感じました。
物語構成は非常に練られており、一応ハッピーエンドとして終わる点は好印象です。
ただし、ラストシーンで袋小路が田中に会いに行く場面において、田中がその来訪を予期していなかったかのように描かれている点が少し気になりました。
もし田中が袋小路の行動すら読み切っていたと示されていれば、彼の知略がより強く印象づけられたのではないかと思います。
また、今回たしかに凛子は誰も殺していないという救いはありますが、次の「探偵遊戯」では再び殺人に巻き込まれ、今度こそ加害者となってしまう可能性が残されています。
その未来を思うと、彼女に完全な救いがないまま終わる点が、少し切なく感じられました。
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