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■本の情報
<作者> 原作:ジョージ・S・クレイソン , 漫画:坂野旭
<発行日> 2019年10月 (文響社)
■概要 ネタバレを含みます。緑文字は私の意見、補足になります。
<背景>
本書は1926年に出版されたジョージ・S・クレイソンの原作「The Richest Man In Babylon」を漫画化したもので、原作は今日でも世界中で翻訳され読み続けられています。
バビロンとはバビロニア王国のことですが、何故バビロニア王国の話なのでしょうか。これは実際にそのような教えがバビロニアで教えられていたものが今日まで伝わってきたものをクレイソン氏が集約させたのではなく、
遺跡から発掘された何万枚ものバビロニア時代の粘土板に書かれている、当時の生活の様子や庶民の日記などを参考に、クレイソン氏が作り出した物語となっています。
粘土板の記述には、バビロニアは交易や金融が発達していて、人々の財産や貴重品を保管したり、穀物や家畜を貸しつけていた様で、これが銀行の起源ともいわれています。
ユダヤ人も金融業を得意としていましたが、これはメソポタミア文明でうまれたものがユダヤ人とバビロニアに受け継がれたのか(ユダヤ人の祖先はシュメール人ではないかという説がある)、
あるいはバビロン捕囚の時にユダヤ人がバビロニアに連れてこられた際にユダヤ人も獲得した知識だったのかは分かりませんが、何か関係があったのではないかと個人的に思います。
<黄金に愛される7つ道具>
① 収入の十分の一を貯蓄せよ
② 欲望に優先順位をつけよ
無駄遣いをするなと同義。
③ 貯えた金に働かせよ
投資をせよと同義。
④ 危険や天敵から金を堅守せよ
ある程度金がたまってくると儲け話にのりたくなってくるが、大きく賭けようと有り金を全て差さないこと。必ずその道に長けた人に相談すること。賢者たちの忠告は時に儲け話以上の価値がある。
⑤ より良きところに住め
住居は幸せな生活と密接にかかわっており、その幸せは貯金を殖やすモチベーションとなる。住居への支払いは心を豊かにする投資といえる
⑥ 今日から未来の生活に備えよ
毎月少しずつでも金を積み立てていけば、老人になって動けなくなった自分や、自分が死んだ後の家族に蓄えを残すことが出来る。これは保険に入れよと同義。
⑦ 自分こそを最大の資本にせよ
動いた者とそうでない者とで人間は分かれる。行動した人間にこそ勝利の女神は微笑む。
<お金はおまけ>
上記でお金持ちになるための7つ道具を説明しましたが、お金持ちになることが目的ではありません。仕事がまた仕事を生み、仕事は経済を回し人の営みを築く。
それに意味があるのであって、お金はおまけである。人のために感謝されるような仕事をすれば、お金は後からついてくる。
■感想
ページ数は多いですが、おさえておくポイントは限ら得れているため、結構サクサク読むことが出来ます。極端なことをいえば物語のほとんどの部分は必要ないかもしれません(笑)。
またこの7つ道具においても、現代の感覚からは至極当たり前のことをいっているように思えますが、これは、これらの教えがしっかりと広まった証拠であるといえるのかもしれません。
コラムの中では、黄金に愛されるための道具の活用として、米国株式のインデックスファンドを取得(コラムには書かれていませんが、更にドルコスト平均法で取得)することをお勧めしている。
これは現状においてはかなり確実性の高い方式であるといわれており、書籍「ウォール街のランダム・ウォーカー」でも同じことが述べられています。
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