■本、著者の情報
<作者>ブッダ(の言葉), 今枝由朗 訳
<原題>Dhammapada
<発行日>2023年6月 (株) 光文社
■本の構成
ダンマパダとは、仏教のパーリ仏典におさめられている経書のひとつです。スッタニパータと並びお経の中で最も古く、紀元前3~2世紀ごろにその原型が成立。法句経とも呼ぶ。
重複する内容もあるのはスッタニパータで説明しています。
第一章 対句
第二章 勤しみ
第三章 心
第四章 花にちなんで
第五章 愚者
第六章 賢者
第七章 供養に値する人
第八章 千という数にちなんで
第九章 悪
第十章 暴力
第十一章 老い
第十二章 自己
第十三章 世の中
第十四章 ブッダ
第十五章 幸せ
第十六章 愛しきもの
第十七章 怒り
第十八章 汚れ
第十九章 理に従う人
第二十章 道
第二十一章 さまざまなこと
第二十二章 地獄
第二十三章 象にちなんで
第二十四章 渇望
第二十五章 出家修行者
第二十六章 行い清き人
■幸せ
・勝者は怨みを買い、敗者は苦しみを味わう。勝敗を捨てた人は安らかで幸せである。
・貪欲にまさる火はなく、怒りにまさる不運はなく、肉体的存在にまさる苦しみはなく、平安の境地にまさる幸せはない
・健康は最高の財であり、充足は最高の富であり、信頼できる人は最高の友であり、安らぎは最高の幸せである。
・独居の味、静寂の味を知ったならば、恐れも、汚れもなく、心理の喜びを味わう。
・もろもろの聖者に会うのは善いことであり、彼らとともに住むのは常に楽しい。愚者に交わらなければ、いつも幸せである。
■五戒
不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒は五戒といって、仏教の基本的な戒めのことである。
生きものを殺め、偽りを言い、与えられていない物を奪い、人の妻と交わり、酒に溺れる人、彼はこの世において、自らの行いによって、自らの礎を掘り崩す。
■諸行無常
「条件づけられている」とは、世界の全てのものごとは、それ自体が単独で存在することなく、たがいに依存しあっている「縁起」のことを指す、存在論である。
全てが他のものに条件づけられている以上、ものごとにはそれ自体の特性が無く(無我)、それゆえに物事は思い通りにならず(苦)、絶えず移ろいゆくもの(無常)である。
・条件づけられたものは永遠ではなく移ろいゆくが、目覚めた人は動揺する事は無い。
・「条件づけられたものは全て、無常である」と、叡智によって理解したならば、苦しみはなくなる。これが清浄の境地に至る道である。
■仏教用語
・ドゥッカ:苦のこと。肉体的な苦しみと精神的な苦しみがあるが、原義は「他の要因によって条件づけられていて思い通りにならないこと」
・六根:色と形、音、匂い、味、感触に加え、精神的領域の知覚を総称したもの。
・マーラ:魔羅と音写され、心を迷わせ、正しい判断を妨げる作用の象徴。
・善趣,悪趣:生きものの境遇のこと。善種は人、天、阿修羅。悪趣は畜生、餓鬼、地獄
・サマナ:沙門と音写され、主にバラモン階級出身者以外の修行者を指す。
・ヤマ:閻魔と音写。人類最初の死者。そこから転じて冥界、地獄の支配者となり、死王と見なされる。
・ムニ:牟尼と音写。理想的な宗教者を指すが、「沈黙の行を修する人」という意味がある。
・ボーディ:菩提と音写。「目覚め」の意味。
・ビク:比丘。乞う人、乞食者を原義とし、托鉢する男性の修行者のこと。女性の修行者は比丘尼(ビクニ)。
■その他印象に残った言葉
・『怨みは、怨みによって消えることはけっしてなく、怨みは、怨みを捨てることによってこそ消える。これは普遍的真理である』
この言葉をスリランカのジャヤワルダナ(後の大統領)は、先の大戦で日本に対する損害賠償請求権の放棄の際に引用した。
・愚者は自分の子供や財産のことを、思い煩い、悩み苦しむ。そもそも自分自身さえ自分のものではないのに、子どもや財産がどうして自分のものだろうか。
・あたかも、スプーンにスープの味が分からないように、愚者は一生賢者に仕えても、真理を知ることがない。
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