コンテナ輸送普及の歴史を、「コンテナ輸送の父」と呼ばれるマルコムマクリーンを主に中心に描かれています。物資を同規格のコンテナに運んでトラック、鉄道、船に跨って輸送するのは今となっては当たり前となっていますが、
1950年代位までは沖仲仕(おきなかし)と呼ばれる港湾労働者が一つ一つ物資をトラックから降ろしては船に積むという事をやっていました。
またコンテナ輸送自体もその試みは1920年頃からありましたが、今一つ普及しなかったのは、輸送をシ大規模なステムとして捉えていなかった為と考えられています。以下コメントがマクリーンの行ったことがいかに革命的であったかを表すものとなります。
マルコム・マクリーンが優れて先見的だったのは、海運業とは船を運行する産業ではなく貨物を運ぶ産業だと見抜いた事である。
マクリーンによるコンテナリゼーションはそれまでの試みとは全く違うものになったのである。輸送コストの圧縮に必要なのは単に金属製の箱ではなく、貨物を扱う新しいシステムなのだという事をマクリーンは理解していた。
港, 船,クレーン, 倉庫, トラック, 鉄道, そして海運業そのもの。つまりシステムを構成するすべての要素が変わらなければならない。そうマクリーンは理解していた。
面白い内容ではありましたが、もう少し図解があると、コンテナがいかに革命的だったかをより理解しやすく、面白さが増すのではないかと思いました (数値をたくさん出されても、その凄さがピンと伝わりづらい)。
またマルコム・マクリーンがコンテナリゼーションにおける中心的存在として描かれてはいますが、敢えて作者はマルコム・マクリーンを主人公とした物語劇として描いてはおりません。
私個人的には、マルコムの物語として描いた方が良いのではないかと思いました (マルコムの死をエンディングにし、その後はエピローグとして描くに留める)。