■本、著者の情報
<原題>The Sirens of Titan
<作者>カート・ヴォネガット・ジュニア, 朝倉 久志 訳
<発行日>2009年2月 ※ 1977年10月に刊行されたものからの新装版
<出版社>(株) 早川書房
■感想
作品のテーマは自由意志の存在について。
地球人たちの行動の全ては、タイタンにいるトラルファマドール星のサロに宇宙船の修理部品を届けるためにトラルファマドール星から操られていたという事で、
実は自由意志が存在しないという仮定の世界を描いている。
自由意志が無くても、誰かの役に立っている事で、人間は幸せを感じることができるのだという事を説いています。
水星に留まることを選択したボアズや、ビクトリアスの「一番の不幸は誰にも何事にも利用されないこと」という言葉からそれが分かります。
終盤まで読み進めるまでは、私はラムファードの行動原理が分からず、この訳の分からないマラカイの旅にもやもやしていましたが、ラムファードも結局操られているに過ぎないとわかった時に
ファムファードも可哀そうな人物なのだと感じました。(ラムファードは少しでも幸せを感じることができたのだろうか)
■登場人物
・ マラカイ・コンスタント
主人公。投資で成功を収めたノエル・コンスタントの息子。父の財産を引き継ぎ地球では自由奔放に暮らしていたが、火星、水星、そして土星の衛星であるタイタンに行く運命を告げられ、そこから彼の人生は苦難に満ちたものになっていく。火星ではアンクと呼ばれる。
・ ウィンストン・ナイルズ・ラムファード
「時間等曲率漏斗」と呼ばれる現象に飛び込み、そこから時間を超えて未来を知り、空間を超えて体を実体化することができるようになる。
・ ビアトリス・ラムファード
ウィンストン・ナイルズ・ラムファードの夫であったが、その後マラカイ・コンスタントの夫となり、息子のクロノを出産。火星、地球に行ったのち、最後はタイタンで息を引き取る。
・ サロ
トラルファマドール星人。1100万歳。トラルファマドール星に文明ができたのは少なくても数億年前以上前である。
■目次
1. ティミッドとティンブクツーのあいだ
2. 電信室の喝采
3. ユナイテッド・ホットケーキ優先株
4. テント貸します
5. 見知らぬ英雄からの手紙
6. 戦時脱走兵
7. 勝利
8. ハリウッドのナイトクラブで
9. 解けたパズル
10. 奇跡の時代
11. われわれはマラカイ・コンスタントを憎む、なぜならば・・・
12. トラルファマドール星からきた紳士
エピローグ. ストーニイとの再会
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