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■本、著者の情報
<作者>苫米地 英人
<出版社>株式会社 ビジネス社
<発行月>2023年1月
■あらすじ
超国家権力とは、グローバリズムと宗教が融合して形成される、国家を超越した勢力を指します。本書では、その起源を大航海時代まで遡って説明しています。
記述の大半は大航海時代に関する歴史的事象の解説で構成されていますが、第5章以降では著者の独自の見解が展開されており興味深い内容でした。以下はその第5章以降の要約です。
<残虐行為の正当性>
大航海時代においてスペイン人やポルトガル人が原住民に対する大規模な虐殺を可能にした背景には、宗教的正当化があったとされます。
征服の際には「降伏勧告状」と呼ばれる文書を読み上げ、原住民に対して“神に従い、従属することを宣告する”よう求めました。
その条件を受け入れれば奴隷として扱い、拒否すれば殺害する、という手続きが形式的に踏まえられていました。
こうして例え相手がスペイン語を理解していなくても降伏勧告状を読み上げるという儀式を経ることで、征服者自身が“神の意思に従っている”と認識し、殺戮への心理的抵抗を弱める効果がありました。
さらに、カルヴァンは「予定説」を唱え、人間の救済はどれほど寄付や祈りを重ねても変わらず、すべては神によってあらかじめ定められていると説きました。
その上で得た利益は蓄財し神が定めた職業=天職の遂行に用いるべきだと主張しました。
この思想は資本の蓄積と職業労働の重視を肯定し、結果として資本主義を神学的に正当化するものであったとされています。
このように資本主義を神学的に肯定する思想や、神を信じない人々に対して極めて残虐になり得る構造は、当時の宗教観に根差したものでした。
そして、こうした歴史的背景を継承している存在こそが、著者のいう「超国家権力」にほかならないとされます。
まず間違いなく、彼らは最後の審判で天国に行けるであろうことを確信して「世界人口の大半は必要ない」という事を、善意で本気で主張しているのです。
だから強いのであり、だからこそ怖いのである。
<超国家権力への対抗>
武器を売るために戦争を仕掛ける者がいる、薬を売るために病原菌を作り出しているように見える者がいる。
そして、この様な超国家権力に対抗する手段としては「自然権」および「革命権」を行使するほかないと著者は述べています。
ここでいう革命とは武装蜂起を意味するものではありません。世界の動きを正しく理解し、その理解に基づいて選挙で意思を示し、超国家権力に従属する政治家を選挙によって退場させることを指しています。
また、私たち自身が、彼らが見せる煩悩最大化世界の魅惑に絡めとられず、自分の煩悩はほどほどにして自分以外の人たちの幸せを考えることが重要である。
<グレートリセットとは>
筆者は、グレートリセットとは王や貴族、宗教指導者が思うままに権力を行使していた大航海時代のような構造へ回帰する試みであると捉えています。
もっとも、それは単に旧来の王侯貴族の支配体制に戻るという意味ではありません。むしろ現代における「キング」へ権力を集中させようとする動きだと指摘します。
その「キング」とは誰か。筆者によれば、ワールドエコノミックフォーラムに集う現代の経済的支配者層を指すとされます。これこそがグレートリセットの本質である。
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