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■本、著者の情報
<作者>宮部 みゆき
<発行日>1998年2月
<出版社>(株) 新潮社
■登場人物
本間 俊介:捜査一課の刑事。銃で足を撃たれ休職中。42歳。
本間 智:俊介の息子。ボケという名の犬の世話をしていた。10歳。
井坂 恒男:本間家の家政夫。智の面倒をよく見ていた。
碇 貞夫:俊介の同僚。42歳。
関根 彰子:クレジットカードにより自己破産した。スナックの勤務経験あり。
新城 喬子:関根彰子の身分を乗っ取ろうとするも身分がばれそうになり、失踪。父親の住宅ローンの借金によって夜逃げをするも、度々見つかり、悲惨な生活を強いられていた。
本多 保:関口彰子の幼なじみ。しいちゃんと呼んでいた。
■感想
クレジットカードによる多重債務者となり自己破産をした関根彰子。親が住宅ローンを返しきれなくなったことから、夜逃げをして借金取りからの逃亡生活を続けた新城喬子。
どちらも社会の犠牲者であり、凄惨な人生を送った二人であったが、関根彰子はそれでも何とか人生をやり直そうとしていたのに対して、新城喬子は過去の自分を棄てるために人を二人も殺めてしまった。
確かに同情せざるを得ない人生ではあったが、それでも殺人は許されない行為であり、読者の立場としては、どのような心情や手法で殺人に至ったのか、関根彰子の学校に行くというのはどのような気持ちだったのか。
そして今は何を思っているのか。後悔していないのか。それを本人の口から聞きたかった所であるが、それがないまま終わってしまったのは、とても拍子抜けをした気分でした。
そして新城喬子にたどり着くまでの過程がただただ長く、読者の意表を突くどんでん返しや、巧妙なトリックといった物が全くなかったのも、物語の平坦さを印象付けさせられるものになりました。
本筋とは関係のない話がたくさんあった様に思えますので、600ページというボリュームに対して、そう言った話をざっくり省いて、新城喬子のリアルな心情を描写するのに紙幅を割いて欲しかったです。
この様な終わり方になる位だったら、作中にあった本間にとって最悪の展開になってくれた方が、読者の意表も突きつつ、尚且つみんな幸せに終わるという最高の結末になって良かったのかもしれないなと思いました。
わたし、関根彰子さんから戸籍を売ってもらったんですけど、、、彰子さんですか?今は博多で働いてるとか。つい最近も、電話で話したところです。本当に申し訳ありませんでした、こんなことをして。。
和也は彼女の説明を聞いて感激し、二人はよりを戻し、めでたく結婚。こっちは胃潰瘍で入院だ。いや、高血圧で倒れるかもな。
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