【まとめ】 ヒューマノクラシー, ゲイリー・ハメル



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

産業:60

文学:90

公開日:2025/10/9    

■本、著者の情報
<作者>ゲイリー・ハメル, 東方雅美 訳
<出版社>英治出版 株式会社
<発行月>2023年12月

■目次

Part1 官僚主義からヒューマノクラシーへ
chapter 1 人の力、組織の力
- 人にはレジリエンスがあるのに、組織にはない
- 人にはクリエイティビティがあるのに、たいていの組織にはない
- 人は情熱を持っているのに、たいていの組織は持っていない
- 官僚主義の遺産
chapter 2 官僚主義の問題点を診断する
- 階層化され、近視眼的になっている
- 組織構造が固定され、動きが鈍くなっている
- 専門化され、制約されている
- 標準化され、思考を組んでいる
- 官僚主義による災い
chapter 3 官僚主義のコストを計算する
- 官僚主義を倒しにくいのはなぜか
- 主義の間の証拠をそろえる
- 官僚主義の経済的インパクト
- 官主義の削減効果は10兆ドル
- 人としてなすべきこと

Part2 ヒューマノクラシーのパイオニア企業から学ぶ
chapter 4 (ニューコア) 製品ではなく、人をつくる
- ニューコアという企業
- 自由と責任の上に事業を築く
- ニューコアのポスト宮主義の進め方
- ヒューマンクラシーの精神
chapter 5 (ハイアール) 誰もが起業家
- ハイアールという企業
- 人合一への日

PART 3 ヒューマノクラシーの基本原則
chapter6 手法よりも原則を追求する
chapter7 オーナーシップ
- 企業の従業員と起業家のちがい
- 裁量権と報酬上乗せの可能性
- オーナーがどこにでもいる組織
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter8 市場
- 集合知(コレクティブ・インテリジェンス)
- 機敏な資金配分
- 柔軟な調整
- 競争がもたらす規律
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter9 健全な実力主義
- 誇張される能力
- 誤って評価される能力
- 過剰に評価される力
- 有害な能力
- 人事評価の浄化
- 知性と権限の整合
- 報酬と貢献度の調和
- 自然で動的な階層組織
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter 10 コミュニティ
- アルコール依存症患者の自助グループ
- 教育の質の向上に取り組む
- サウスウエスト航空 - 大規模なコミュニティの創造
- コミュニティを目指す
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter 11 オーブンであること
- オープンイノベーションの誘惑
- クローズドマインド
- オープンマインド
- クローズド戦略
- オープン戦略
- オープン戦略の実例
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter12 実験
- 実験に反感を抱く官僚主義
- なぜ、数の多さが重要なのか
- 実験を支える精神
- インテュイット - 実験の文化をつくる
- ヒューマノクラシーへのステップ
chapter 13 パラドックスを超える
- 逃れられないバラドックス
- 曖昧さを忌み嫌う
- ハンデルスパンケン―白黒思考を超える
- 自由とコントロールの両立
- 鉄の艦を超える
- ヒューマノクラシーへのステップ

PART 4 ヒューマノクラシークラシーへの道
chapter 14 (ミシュラン) 最初のステップ
- リーン生産の限界に直面
- 自律的なチームをつくる
- 「権限と責任の移譲」の力を見出す
- 知見を統合する
- チームから工場全体の取り組みへ
- テスト工場での進展
- 「権限と責任の移譲」を根づかせる
chapter 15 ヒューマノクラシーの始め方
- 官僚主義者のためのデトックス
- 権力を手放す
- マネジメントをハックする
- ハックのつくり方
chapter 16 ヒューママノクラシーの広げ方
- 情熱のコミュニティを築く
- ハッカソンを主宰する
- リーダーシップを問い直す
- 変革を問い直す
- 終わりに


■官僚主義とは

官僚主義とは、行政機関などで規則や手続きが過度に重視され、形式的・非効率的な運営になることを指し、組織の目的よりも手続きの遵守が優先され、柔軟な対応や創意工夫が失われやすい体質をいう。 具体的には以下特徴がある。

・ 公式な階層がある
・ 肩書きによって権力が決まる
・ 権力が上から下へと流れていく
・ 上位のリーダーが下位のリーダーを任命する
・ 戦略と予算は上層部が決める
・ 本社のスタッフが方針を決め、それに従わせる
・ 仕事上の役割がきっちりと決められている
・ 監督や規則、処罰によってコントロールされる
・ マネジャーが仕事を割り当て、業績を評価する
・ 全員が昇進を競い合う
・ 報酬は職位によって決まる


■感想

・経営層に対する不信感が強い場合、権限と責任の委譲は「仕事の丸投げ」と受け取られるおそれがある。 まずは経営層自身が、これまでのプロジェクトを振り返り、課題や反省点を率直に社員と共有することで、信頼関係を再構築することが重要である。

・自動車開発のように大規模な開発では、たとえチームを分割して権限を委譲し、自主経営型の組織を作っても、他の組織がボトルネックとなり、開発全体のパフォーマンスを向上させることは難しい。 たとえるなら、会社という大きな船の上で、小さなチームが甲板の上を逆方向に走っても、船全体が誤った方向に進んでいれば、最終的にはそのチームも同じ方向に流されてしまうようなものだ。

・また、自動車開発のように規模が大きいと、自分の仕事の成果が売上にどの程度貢献しているのかが見えにくく、やりがいを感じづらい。 車種ごとにチームを組織し、開発に対する責任と成果を明確にすれば、当事者意識の向上につながる可能性がある。

・評価制度の見直しも必要である。現在は部門長が部下の評価を一方的に決定しており、たとえ部門の目的とは異なる挑戦であっても、その成果が認められにくい。 むしろ、部門への直接的な貢献がないとみなされ、評価が下がってしまうケースもある。これでは新たな取り組みを促すことはできない。

・「自分らしくいられる」という安心感、すなわち心理的安全性が欠かせない。 このことは社員に限らず、経営層にも当てはまる。失敗すれば職を失うというような風土は、日本の文化にはなじまない。安心して挑戦できる環境づくりが必要である。

■印象に残ったこと

・情熱に従って行動するのが最も高いパフォーマンスを得ることが出来る

・大規模な意識を変革するプログラムを導入すると、多くのマネージャは自分が変わったという様な感じを受けるが、元の職場に戻ると、気持ちも元に戻ってしまう

・新たなパラダイムを創造してブレークスルーを起こした人たちは、たいていの場合、とても若いか、その分野に新たに参入した人たちである。異業種から積極的に人材を取り入れるべき

・既存の仕組みや工程の微調整、短時間のマインドフルネスのトレーニング、アジャイルチーム、DX化、表面的なアナリティクスだけでは組織の力を急上昇させることは出来ない。原則に立ち戻る必要がある。

・情報はオープンにする必要がある

・成功へのプレッシャーは内側から来ることもあるし、上から来ることもある。だが、最も効果的かつ動機付けは同僚からくる。

・トップダウンによる変革は、現場の事情と乖離している事が多く、現場よりもマネジメント層に都合の良い改革である。




関連記事一覧



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

産業:60

文学:90