藤川徳美著 『すべての不調は自分で治せる』の感想



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

文学:90

公開日:2020/6/6    

■本の情報
<作者> 藤川徳美
<発行日> 2019年12月 (方丈社)

以下黒字が本の要約で、緑字が私の感想/コメントです。

■本の概説
三石理論やオーソモレキュラー理論※における各栄養素の働きについて解説し、それら理論に基づき現代の食べ物やサプリメントの事情に合わせた実践的な栄養素の取り方を示している。 また、日本の医師や医療に対して課題や批判的な視点をあて、医者に病気を治してもらうのではなく、自分で病気を治すという考え方に変えるべきであると主張している。

※ 三石理論とは分子栄養学の事で、三石巌氏は分子生物学、生化学等の科学的なメカニズムに準じて分子栄養学を確立した物理学者。 オーソモレキュラー理論は、投薬だけに頼らず、適切な食事やサプリメントから適切な栄養素を取り入れる事によって様々な病気を治す理論の事。 精神科医のエイブラム・ホッファー博士と科学者のライナス・ポーリング博士らが確立した理論。

<糖質制限 + 高たんぱく + メガビタミン>
要約すると、糖質制限 + 高たんぱく(動物性タンパク質に限る) + メガ(大量の)ビタミンを実践すれば、体の不調は治せるという訳である。 ただし順番があって、先ずは糖質制限と高たんぱくを実践し、体がタンパク質が十分足りている状態になったら、ビタミンを摂取していく。 メガビタミンを摂取する前に必要なのは鉄で、特に女性の鉄不足が深刻である。鬱(うつ)の原因には鉄不足が関係しており、鉄を摂取する事で鬱の症状が改善される。 なお欧米では鉄の重要性は浸透しており、小麦粉に鉄分を加える事が義務化されている。これにより日本のように鉄不足に陥る人は少ない。

<日本の医師、医療の課題>
 ・ 医者は対症療法しか提示しない。つまり病気を根本的に治す訳ではない。栄養に関する知識も乏しい医者が多い。
 ・ 新薬に関する医学論文は、製薬会社がスポンサーとして付いている場合が多く、製薬会社の意向を汲んだ内容になっている。
 ・ 論文のエビデンスは自分の考えに合致する部分だけをよせ集めれば良いので、どんな結論でも導く事ができる。
 ・ 論文に限らず、オーソモレキュラーの考え方の普及を妨げる活動が(海外でも)製薬会社によってされてきた。
 ・ 勉強熱心ではあるが臨床音痴な医者が多く、臨床と研究が乖離した治療理論を持ち出してきてしまう。

■感想
私はもともと病気持っている訳ではなく、この本を読んだ理由も、人から勧められたので借りて読んだというものです。 この本を読む前から糖質制限のメリットについては理解しておりましたが、それはあくまでもダイエットの視点でした。 この本を読み、糖質制限に加えタンパク質を摂取する事で、ただ体重を減らすだけではなく体の不調までも治す事ができるのだと知って、目から鱗が落ちました。

いくつか気になった事、印象に残った事を以下に記します。

① 卵の食べ過ぎは大丈夫か?
プロテインなどでタンパク質を摂取できない場合は、卵を1日5個食べる事を推奨しています。しかしそんなに食べて健康的に大丈夫なのか心配になります。 一昔前はコレステロールの1日の摂取量の上限値が厚生労働省から出ており、そこから卵は1日1、2個までとされてきました。 しかし、現在ではコレステロールの摂取量と健康被害の因果性が認められず、実際に1日の摂取量の上限値が撤廃されたので、1日に5個食べても問題は無い筈です。 (そもそもコレステロールは体内でも作られるので、体外から摂取したくらいでは大きな影響がない様です)

とは言っても何事もやり過ぎは良くないと私個人的には思いますので、私は1日せいぜい3個位に留めておきたいと思います。

② 糖質を完全にカットするのも良くない
これもやり過ぎは良くない例だと思っております。本書では糖質制限の弊害について述べられておりませんでしたが、特にアルコールを お酒を飲んだ時にはアルコールを分解する際に大量の糖類を必要とするので、糖質を摂取していない場合は肝臓への負担が大きくなります。 お酒を飲んだ時に炭水化物を食べたくなる理由はこれです。私自身の経験ですが、炭水化物を全く食べずにお酒ばかり飲んだ次の日には、関節や筋肉が物凄く痛くなります。これも糖質不足が原因ではないかと思っております。

③ 臨床医と研究医はどちらが偉いのか?
これは言うまでもなくどちらが偉いという事はないですが、今まで私は、たくさん研究し論文を出した人の方がより多くの人を救う事ができると思っておりました。 そういった事もあるのでしょうか、結論ありきの誰かに都合の良い論文などあまり価値のない論文もたくさんあるのだと知って、イメージが変わりました。 現場の生の体験から多くの人を救う事ができるのも一つの事実です。




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情報科学:00

ジャーナリズム:00

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