【感想】 君たちはどう生きるか, 吉野源三郎 著



読んだ本のこと

情報科学:00

ジャーナリズム:00

哲学:10

歴史:20

社会科学:30

自然科学:40

技術,工学:50

産業:60

文学:90

公開日:2025/7/6    

■本、著者の情報
<作者>吉野源三郎
<発行日> 1982年11月
<発行所>(株) 岩波書店

■目次

一. へんな経験 - ものの見方について(おじさんのノート)
二. 勇ましき友 - 真実の経験について(おじさんのノート)
三. ニュートンの林檎と粉ミルク - 人間の結びつきについて(おじさんのノート)
四. 貧しき友 - 人間であるからには(おじさんのノート)
五. ナポレオンと四人の少年 - 偉大な人間とはどんな人か(おじさんのノート)
六. 雪の日の出来事
七. 石段の思い出 - 人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート)
八. 凱旋
九. 水仙の芽とガンダーラの仏像
十. 春の朝


■感想

もともとは1937年に出版された本で、当時は戦時下にありました。 そのような時代背景の中で描かれているため、当時の生活水準や価値観には現代とは大きく異なる点も多く、時代にそぐわないという意見もあります。 しかし私は、個人の権利や自由が重視されすぎている現代だからこそ、「社会の一員として果たすべき責任や役割」を考えさせるという視点から、この作品に込められた教えは今なお受け入れる価値があると感じました。

主人公のコペル君は15歳という設定ですが、その言動からはやや幼い印象を受けました。私には、小学校高学年くらいの少年のように思えました。

特に心を打たれたのは、雪の日の自らの過ちを悔いて寝込んでいたコペル君に対して、お母さんが自分の体験を語りながら優しく寄り添う場面でした。年齢を重ねた今、親が子どもに見せる思いやりや優しさに、より深く感動するようになりました。 そして、お母さんが経験した過ちも「決して損にはならなかった」という言葉も、深く印象に残りました。

パスカルの言葉に「王位を奪われた国王以外に、誰が国王でないことを不幸に感じるものがあろう。ただ一つしか口がないからと言って自分を不幸だと感じるものがあるだろうか」との言葉のように、 人間が本来、人間同士調和して生きてゆくべきものでないならば、どうして人間は自分たちの不調和を苦しいものと感じることが出来よう。 お互いに愛し合い好意を尽くして生きていくべきものなのに、憎しみ合ったりしなければならないときに人間は不幸と感じる。 また人間である以上、誰だって自分の才能を伸ばしその才能に応じて働いてゆけるのが本当なのに、そうでない場合があるから、人間はそれを苦しいと感じる。 というおじさんの言葉も印象に残りました。




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